Archive for 10月, 2009

2009′ 10/31-11/1 全日本選手権(最終戦) 第7戦 鈴鹿 総括

土曜日, 10月 31st, 2009

2りんかんRT&DOG FIGHT R


■レース結果報告
藤田拓哉 全日本選手権(最終戦) 鈴鹿大会
フロントロー2番手から初表彰台・3位を獲得

2009年全日本選手権最終戦が11月1日鈴鹿サーキットで開催。
そのレース結果をご報告致します

イベント名 全日本選手権(最終戦) 第7戦
日時・場所 2009年11月1日・鈴鹿サーキット
観客動員数 23,000人

レース結果


GP250 藤田拓哉 ヒート1(ドライ)  予選 2位 決勝 3位
ヒート2(ウエット) 予選 2位 決勝 9位
2009年総合ランキング 6位


GP250・藤田拓哉


全日本選手権最終戦は鈴鹿サーキットで開催されるが、九州大会の無かったGP250クラスは2レース開催となり土曜日と日曜日にそれぞれ決勝が行なわれる事となった。また、今回の鈴鹿は初の東コース開催となり、鈴鹿の経験のない藤田にとっては大きなハンデを追わずに戦える条件となった。

その予想通り事前テストで藤田は、宇井、及川両選手と遜色ないタイムで東コースを攻め込んでいた。特にショートカットが設定された後半のセクションで勢いのある藤田は他を引き離すペースを見せており、東コースのJSBクラスのレコード記録を大きく超える52秒8を記録。前半のセクションを攻略できれば充分トップ争いが出来る仕上がりでテストを終えることが出来た。

レースウイークに入り、テストデータを見直し、ミッション、ファイナル、サスセット等を変更して公式練習に臨んだ。午前中1本目の走行は9時からの走行のため路面温度は26度と低めながらトラックコンディションは上々の中、各選手がコースインをしてゆく。

まずリーダーボードのトップに出たのは藤田。事前テストの好調をそのまま維持し、更にタイムを詰めてゆく。特に逆バンクコーナーから最終コーナーにかけてのセクター2の速さは抜きん出ており、宇井、及川両選手を抑えて区間トップを記録。経験の浅いセクター1(ストレートから逆バンクコーナー)もS字コーナー攻略のためいくつかのセットを試しながら徐々にペースを上げて行き、自己ベストを更新。52秒170を記録して総合2番手を獲得。


午後の走行では路面温度の上昇に合わせてタイヤコンパウンドをテスト。更に予選に向けたセットの確認テストを行う。午前中に比べタイヤグリップの変化とマシンバランスがうまく噛み合わず、タイムを更新することは出来なかったものの、予選シュミレーションでは手応えを掴み、目標の51秒台を視野に入れる事が出来る状態で走行を終えた。

51秒台に向け手応えを確認した藤田は公式予選でも積極的にタイムアタックを行い、常にリーダーボード上位につける。予選前半に自己ベストを更新し52秒0までタイムを伸ばしたところでピットイン。リヤタイヤをソフトに変更してタイムアタックに出る。藤田はセクター2でのアドバンテージはそのままに、徐々にセクター1の軌道修正を行いタイムを詰めてゆく。そしてトップの宇井選手と遜色ないセクター1のタイムを記録して返ってきた藤田は51秒83を記録。総合2番手に上がりフロントローを獲得。ついにトップライダーと互角のレベルにまで駆け上がってきた。

ヒート1・決勝


決勝朝のフリー走行。予選の好調さをそのままに、総合2番手のタイムを記録。トップの宇井選手との差も 僅か0.1秒。決勝で充分戦える仕上がりを見せた藤田は午後の決勝レース(ヒート1)に向け準備を進めてゆく

2ヒート制のため、予選が終わった当日に決勝レースが行なわれる事となったヒート1の決勝レースが、定刻15時10分にスタートされた。スタート良く飛び出したのは章典外で参加の600ccマシンを駆る手島。これに宇井、及川、そして藤田と続く。トップに立った手島はペースが上がらず、すかさず宇井がトップに立つ。これに続いて及川、藤田も手島を交わし3台のバトルが始まる。今まではここから徐々に離されてしまっていた藤田だが、今回は二人の背後にピタリと付け、コーナーのいたるところで前を伺う攻撃的なライディングを見せる。

藤田は得意の最終コーナーでスピードを乗せ宇井を交わすが、S字コーナーで再び宇井に抜き返されてしまう。レースが中盤に入るころ、手島がペースアップしストレートスピードの優位性を発揮して再びトップに浮上。

しかしトップに立った後のペースが上がらず、レース終盤には宇井が先に手島を交わしてトップに浮上。ここでスパートをかけた宇井が徐々に離れてゆくのに対して藤田と及川は手島を抜くのに手間取りその差が開いていってしまう。終盤一度は及川を交わし手島の背後につける藤田だが抜き返すまでには至らず、逆に再び及川に交わされてしまう。最終ラップ、藤田はコーナー各所で手島を攻め立てるがこれを抜く事が出来ずそのままチェッカーを受ける事となった。

ヒート2・決勝


翌日曜日、朝のフリー走行では昨日のレースでの教訓を生かし、セクター1のペースアップの為の車体セットの確認を行い、上々の手ごたえを掴んだ藤田。しかし無情にも午後になり雨が降り出し決勝レースはウエットコンディションの中スタートが切られた。

ウエットレースとなった事で経験の浅い藤田はスタートに出遅れ、その後もペースが上がらない。それでも8番手まで落ちた順位を徐々に回復して4番手争いの集団を抜け出した藤田は更にペースを上げ前を追うが、逆バンクコーナーで痛恨の転倒を喫してしまう。

これで終わりと思う会場の思いとは別に、藤田はマシンを起こし再び走り始める。最後尾から追い上げを見せる藤田はウエットでの自己ベストを更新しながら9番手まで追い上げる走りを見せ、最終戦のチェッカーを潜った。

昨年12月にGP125からGP250クラスにスイッチしてまだ1年もたたないが、短い期間で藤田は大きく成長を見せてくれました。全日本選手権最終戦で見せたトップライダーとの互角のバトルは周囲を唸らせる見事な戦いでした。来期以降に関しましてはまだ調整中のため発表は今しばらく時間を頂きますが、来期も更なる飛躍を見せてくれるであろう藤田の走りに注目が集まります。

今大会を持ちまして、今季の主なレース活動は全て終了となりますが、シーズンを通しご支援、ご協力を頂き、 誠に有難うございました。若いライダーが活躍する為の場と、そのチャンスを戴きました事、深く感謝いたします。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明

Photo by 荻崎様 (走行写真)
お写真を有難うございました。この場を借りて御礼申し上げます。
チーム一同

全日本選手権 第6戦 もてぎ ライダーコメント・藤田 拓哉

月曜日, 10月 19th, 2009
ライダー:藤田拓哉
クラス:GP250

2009′ 10/18 全日本選手権 第6戦 もてぎ

☆ライダーコメント☆
レースウイークに入り、公式練習の1本目では、二分台を切れないでいたまま終了しました!

それはまずかったので何をすればタイムが上がるか、考えました。
二本目では、自分の考えを生かしてタイムアタックをしました。
その結果、1分57.7まで上がってきて終了しました。
そして予選のために準備をして次の日の予選を迎えました。

予選では最初のアタックで自分のベスト1.56.9を出しました。
そのあとマシンのセットを合わせて、次のアタックに出ました。
そうするとタイミングよく及川選手が前にいて下さり、1分56.7を出すことが出来ました。
しかしまだ4番手のままで上に上がることができませんでした。

そこで、もう一度ピットインしてタイヤを変えて最後のアタックに出ました。

最後の一周に1分56.0をだして3番手にあがりました。
初めての3番手なので、すごく嬉しかったです。
そして決勝に整えて準備をして決勝を迎えました。
決勝の朝のフリー走行では自分のセットをして決勝の準備を進めました。

決勝が始まりました。
決勝のスタートが決まり三番手のまま1コーナーを立ち上がりました。
一番手と二番手がやりあっていたのでそこを狙っていました。
しかし次の周回に、後ろにいた渡辺一樹選手が無理くり入ってきました。
僕はおさえようとしてインをしめました。
しかし外に弾き出されたようになってしまい、一番手と二番手ともすごい差が開いてしまいました。 しかし冷静に追っかけました。

次の周回に及川選手と渡辺一樹選手が二人でやりあっていて、そこで渡辺一樹選手が無理くりに突っ込んで、及川選手と接触して及川選手が転倒しました。
そのすきに二番に上がりました。
そして一番手の宇井選手を追っかけました。
その時宇井選手がスリップダウンしてしまい、転んでしまいました。
そこで僕が初めてトップに躍り出ました。
しかし初めてのトップなので焦りや後ろからくる何かが自分を襲ってきました。

5周目が終わりました。
6周目にはどんどんペースUPして自己ベストをだそうとしました。
しかしその周回のS字コーナーの立ち上がりでハイサイドで転倒してしまいました。
そこでレースはリタイヤで終わりました。
自分は、心が弱すぎると分かりました。

初めてのトップだったので後ろからいろいろな事が襲ってくるのに耐え切れる心の強さがないと分かりました。 なので心をもっと強くしようと思いました。 そして次は一回り殻を破った藤田拓哉を見せようと思います。
次の鈴鹿も応援よろしくお願いします。

藤田拓哉

2009′ 10/18 全日本選手権 第6戦 もてぎ 総括

日曜日, 10月 18th, 2009

2りんかんRT&DOG FIGHT R


■レース結果報告
一時トップに立つも転倒リタイヤを喫す。

2009年全日本選手権第6戦が10月18日・ツインリンクもてぎで開催。
そのレース結果をご報告致します

イベント名 全日本選手権 第6戦
日時・場所 2009年10月18日・ツインリンクもてぎ
観客動員数 12,000人

レース結果


GP250  藤田拓哉 予選 3位  決勝 リタイヤ

GP250・藤田拓哉


全日本選手権第5戦は地元茂木での開催ですが、藤田は今年一度も茂木の練習が出来ておらず、岡山大会から戻り練習を開始。事前テストでは2分00秒がベストで、合同テストも台風の影響でウエットコンディションの練習に終わってしまい満足なテストが出来ないままレースウイークを迎えることとなった。

レースウイークに入り、公式練習が始まる。午前中1本目の走行は8時から走行のため路面温度も17度と低く、全体的にもタイムの伸びない展開で走行を終えることとなる。藤田も自己ベストに遠く及ばない2分01秒741のタイムで5番手に沈んでしまうが、ドライコンディションでの貴重な走行の中で、サスペンション、タイヤコンパウンドの比較などテストを進める事が出来、午後の走行に準備を進めて行く。

午後の走行になり路面温度も34度まで上昇し各ライダーのペースが一気に上がる。その中で藤田もコースイン2周目に1分59秒台にあっさりと突入し更にペースを上げてゆく。各セクターで自己ベストを大幅に更新してゆく藤田は7周目にこの日のベストとなる1分57秒877を記録する。自己ベストを一気に2秒以上縮める驚異的なペースアップである。この後一度ピットインし、車体のセットアップの変更とリヤタイヤをミディアムに変更して再びコースイン。コース前半のセクターではタイムを更新するものの、後半のセクターでタイムを削る事が出来ずタイムの更新には至らず総合4番手で走行を終えた。

翌日の公式予選は時折薄日が差す涼しいコンディションの中、GP250クラスの予選は昼の12時35分にコースインが始まった。路面温度は24度と前日より低い温度となった中、一気にタイムを上げて行く藤田は5周目に1分56秒台に突入。ピットインした藤田のコメントとマシンデータからリヤサスペンションのセットをややハードな方向に変更。リヤタイヤを変更して再びコースイン。後方から追い上げてきた及川選手の後ろに付いた藤田は、これをピタリとマークして更にペースを上げてゆく。前半セクターのタイムの更新と共に自己ベストを更新して行く藤田はラスト10分を切ったところで最後のピットイン。リヤタイヤを交換して最後のアタックに出てゆく。

予選時間終了まで残り30秒のところでホームストレートを通過した藤田は最後のアタックに入り、セクター1、セクター2、そしてセクター3と大幅に自己ベストを更新。そしてセクター4でも自己ベストを記録した藤田は1分56秒067を記録して総合3番手に浮上。開幕戦筑波以来の総合3番手を獲得した。

予選後、路面状況、マシンデータ、ライダーコメントを基にミーティングで翌日の車体セットの確認を行なった結果、想定以上にペースの上がった藤田に合わせてミッションギヤの変更と車体セットの微調整を行い翌日のフリー走行で最終チェックを行なう事を確認した。

決勝朝のフリー走行。慣らし走行を終えた藤田がペースを上げてゆく。そのトップスピードはミッションギアの変更が当たりクラストップのスピードを記録。その後ピットイン、サスセット確認等を行ない、クラス4番手で、フリー走行を終えた。

タイヤ選択、車体セットなど方向も固まり、迎えた決勝。定刻15時15分に決勝のスタートが切られた。前回岡山大会の後、練習を重ねたスタートが決まり3番手のまま第一コーナーに進入。目前に宇井、及川を捕らえ、二人をピタリとマークする形でオープニングラップを通過。すると第一コーナー進入で後続の渡辺が強引にイン側に仕掛けてくる。藤田は押し出されるような形となりオーバーラン。4番手にポジションを落としてしまう。

しかし焦る事無く前を追い上げて行く藤田は、1周目の走りでトップを行く宇井の走りの異変を捉え、及川に対しても追い着ける自信を見せていたのだ。2周目に入り強引な走りを見せる渡辺が及川の前に出るが、最終コーナー立ち上がりでミスをしてホームストレートで再び及川に交わされる。しかしこの直後、第一コーナー進入で又も強引な進入を見せた渡辺のマシンが及川のマシンに追突。2台が転倒コースアウトを喫し藤田は2番手に浮上する。

前を行く宇井が完調でないと見た藤田はペースを上げ喰らい付いてゆく。すると今度は宇井が転倒。藤田はついにトップに躍り出る。4周目を通過しトップ藤田に対し2番手星野との差は7.5秒。予選タイムから考えても余裕の展開であったが藤田は目標である55秒台に向けスピードを上げてゆく。するとなんと今度は藤田がS字コーナー立ち上がりでハイサイド転倒。マシンを起こしピットに帰ってくるが、そのまま無念のリタイヤとなった。

全日本選手権で初めてトップに立ち、後方の見えない敵に怯えながら、自己ベストの更新に向けスロットルを開け続けた藤田。転倒により掴みかけた全日本初優勝の称号や他にも失ってしまったものは多くあるが、それ以上に多くのものを得る事が出来たはずである。今後タイトル争いを演じる事になるであろう本当の戦いの時に、今回の経験は必ず生かされる事であろう。その経験を1年目の14歳にして経験できた事は非常に大きな収穫である。

DOG FIGHT RACING の次回のレースは、11月1日の最終戦、鈴鹿サーキットとなります。
引き続き応援いただけますよう、宜しくお願いいたします。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明