Archive for 9月, 2008

2008′ 9/28 MotoGP 第15戦 日本(もてぎ)

日曜日, 9月 28th, 2008
■レース結果報告
2008年世界グランプリ・日本大会が栃木県ツインリンク茂木にて開催されました。
当チームからは、伊藤勇樹、がワイルドカードで初参戦いたしました。
そのレース結果をご報告致します

イベント名 世界グランプリ 第15戦
日時・場所 2008年9月28日・ツインリンク茂木
観客    54,000人

レース結果


GP250  伊藤勇樹 予選 24位  決勝 23位

GP250・伊藤勇樹


全日本選手権参戦開始をした3年前に目標とした世界グランプリへの参戦をワイルドカード枠4番目でかろうじてクリアし今回グランプリデビューを飾った伊藤勇樹。しかしその現実は非常に厳しく、グランプリの流れに乗る事さえも出来ないままあっとゆうまにレースウイークを終える悔しさの残るレースとなりました。

事前テストでは使用ガソリンの変更に備えキャブセッティング、燃焼室形状、圧縮、点火時期と様々な組み合わせをテストしましたがベストなセットを見つける事が出来ないまま本番を向かえる事となった。それでも消去法でエンジンの最終仕様は結果的にノーマルと同様の仕様に落ち着き、若干の圧縮アップと点火特性の変更(進角方向)でレースウイークを迎えた。

ウイーク初日の金曜日は曇り空から時折雨が落ちコースを濡らしてゆく。
GP125、MOTO-GPと続くフリー走行はウエットコンディション。しかし雨が上がりGP250のフリー走行では徐々に路面が乾いてゆく。ウエットコンディションで始まった序盤は20番手以内を走行していた伊藤だが路面が乾いてきた終盤に各車がドライタイヤに変更する中ピットインのタイミングが遅れた伊藤はドライタイヤでのアタックが間に合わず25番手で初走行を終えた。

全日本なら午後もフリー走行だが、世界グランプリでは午後からは一回目の公式予選が開催される。天気予報では土・日曜日の天候は晴の予報だが、変わりやすいこの時期の天候で明日雨が降れば、金曜日の予選結果でグリッドは決まってしまう。そのため気を抜いた走りは出来ない。キャブセット、マシンセットをドライコンディションに設定して変更。午後の公式予選に臨んだ。

コースはドライコンディションながら路面温度も低く各選手が攻めきれないようだ。伊藤は今年春の全日本選手権のときに1分56秒台を記録しているが周回を重ねるタイムはそれに大きく及ばない58秒台が精一杯のアタックが続く。唯一の救いはエンジンセットが良い方向にまとまりTZ250ユーザーの中で国内3選手の中でトップスピードを記録していた事だ。しかし他車との差は歴然で10km以上の速度差と加速の違いを見せ付けられてしまう。結局伊藤はタイムを伸ばす事が出来ず総合25番手で一回目の公式予選を終えた。

二日目を迎えた土曜日は天気に恵まれ晴。
車体セットを大幅に変更して臨んだフリー走行で全日本のときのフィーリングを取り戻し始めた伊藤は1分57秒台で周回を重ねセッティングをつめてゆく。そして午後に行われた2回目の公式予選。コースイン直後にマシンの不調からピットに戻る伊藤。プラグを交換して再度コースインするが再びピットに戻ってくる。原因は排気バルブの緩みでメカニックが緊急修復してピットアウトして行く。

マシンは調子を取り戻し伊藤は残り20分でタイムアタックを再び開始。周回ごとにタイムを積め57秒台に突入。更にタイムを詰めてゆくと最終ラップに57秒0のベストタイムを記録した所でチェッカーとなってしまった。序盤のトラブルが手痛い。結果は総合24番手となり6列目から決勝に臨む事となった。

公式予選を終えた後もリヤのセッティングが決まらなかった伊藤はメカニックとミーティングを行い、車高の変更(アップ)を行い明日のフリー走行で最終確認を行う事となった。

決勝の日曜日は曇り空となり気温・路面温度共に低い中で朝のフリー走行が行われた。マシンセットの確認をしながらペースを上げてゆく伊藤。マシン状態は慣らしセットながら状態が良く、トップスピードも伸びている。しかしタイムが伸びない。58秒台で周回する伊藤はマシンセットを変えることなく走り続けるがタイムを短縮する動きは見られない。結局最後までセッティングを変えることなく走りきった伊藤はフリー走行を終えた後のミーティングで車高を昨日の予選の状態に戻す事を決め決勝に臨む事を選択した。

天候は回復せず曇り空の中、12時15分に23周の決勝レースがスタートした。
スタートに出遅れた伊藤は第一コーナーに最後尾で侵入。そして続く第3コーナー立ち上がりで前方のマシンがハイサイドで激しく転倒。このとき外れたガソリンタンクからこぼれたガソリンがコース上に若干残る。転倒したマシンをかろうじてよけた伊藤だがこのガソリンを踏んでしまい、スリップの呪縛にとらわれてしまう。

このアクシデントで前方のマシンと更に差が開いてしまうが、徐々にペースを上げて前方にいる同じワイルドカード参戦の遠藤を追う。タイムの上昇と共にその差が詰まり始めた7周目に伊藤は最終コーナー立ち上がりで大きくリヤがスライドしハイサイド寸前までの状態となってしまう。このスリップでガソリンに乗ったせいでタイヤにオイルが付着していると考えた伊藤はペースダウン。

走りが一気に萎縮してしまい徐々に前方との差が開いてゆく。更に1周目にコースアウトし最後尾に落ちたライダーにまで抜かれ最後尾にポジションを落としてしまう。 伊藤は懸命に喰い付き11周目に決勝レースのベストラップを記録しながら着いてゆく。すると前方のライダーは再びミスを犯し、ポジションが入れ替わるがなんと伊藤はピットに戻ってきてしまう。

リヤタイヤのスリップから危険を感じてのピットインだった。

リヤタイヤを交換して再びコースに戻った伊藤。この時点で2周遅れとなってしまう。タイヤを交換した伊藤だがタイムが上がる事も無く周回を重ね、17周目にはトップ集団に抜かれて3周遅れとなってしまう。その後も58秒台で走行を続け20周でチェッカーを受けGP初参戦のレースを終えた。

ガソリン付着によるタイヤスリップではない事、決勝レース中に戦列を放棄した事、周回遅れとなるときの処理のまずさ・・・・様々な問題をレース後に叱責され、悔しさの残る惨敗のレースウイークを終えた。

初参戦の世界グランプリにチーム・ライダー共に飲まれてしまい、流れを掴む事が出来ないままレースウイークを終える事となってしまいました。対応し切れなかった様々な悔しさを今後の糧にして最終戦の岡山、そして来期につなげてゆきたいと思います。

3年前に立てた目標を実践する事が出来た事はチーム&ライダーの確かな成長の証であり、GP参戦で大きく頭を叩かれる結果となりましたが確実に前進していると確信しております。 今後も諦めることなくしつこく前進してゆきます。

今大会参戦に向け、多くのご支援ご協力を頂き、誠に有難うございました。
惨敗という御報告も恥ずかしい成績で終える事となってしまいましたが、何卒、今後も御支援戴けますようお願い申し上げます。
有難うございました。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明


2008′ 9/7 全日本 第5戦 鈴鹿 総括

日曜日, 9月 7th, 2008
■レース結果報告
世界グランプリ直前の鈴鹿大会、伊藤勇樹9位でフィニッシュ!

全日本選手権初のJSB1000クラスの2ヒート製で開催されました全日本選手権第5戦。
当チームからは伊藤選手と草薙選手の怪我により交代ライダーとして参戦した中山選手の2名が参戦。そのレース結果をご報告致します

イベント名 全日本選手権 第5戦
日時・場所 2008年9月7日・鈴鹿サーキット
観客動員数 17,000人

レース結果


GP250   伊藤勇樹 予選 9位  決勝 9位
ST600   中山英樹 予選 41位  決勝 31位

GP250・伊藤勇樹


世界グランプリ参戦が決まった伊藤選手は茂木の練習が重なり、事前テストの無いまま鈴鹿のレースを迎えることとなった。迎えた金曜日の公式練習。明け方の激しい雨によりコース上はフルウエット状態だったが天候は急速に回復し走行時間を迎える頃には雨が上がりコース上は徐々にドライコンディションに変わってゆく。

しかし明け方まで続いた大雨によりコース上にはいくつもの川が残り、午前中のセッションは各選手がセットアップを詰めきれない中途半端な走行となってしまった。午後になっても完璧なドライコンディションとは言えないコンディションの中、2回目のセッションが行なわれた。伊藤は路面状態からやや柔らかめのセットでコースイン。徐々にペースを上げて行きながらピットインを繰り返しサスセットをハードな方向に変更してゆく。

テスト不足がたたり最後までセットアップをつめ切れ無いままセッションを終えた伊藤はトップから4秒遅れの19秒台で総合12番手に沈んでしまう。翌日の予選は1回のみとなるためチームは大幅なサスセットの変更を決め予選に臨んだ。

土曜日の公式予選はドライコンディションとなるが全体的に路面グリップが悪く全体のタイムが伸びない。そんな中伊藤は、サスセットの変更が良い方向に決まり前日からのタイムを一気に2秒以上詰める。更にピットインでセットを変更する度に少しづつタイムを詰めるが、自己ベストには程遠く2分17秒158で総合9番手となる。

車体セットやキャブセットを見直し翌日朝のフリー走行に臨んだ伊藤は、若干の改善は感じるもののダンロップコーナーや200R等で車体リヤ周りの違和感を拭い去ることが出来ないでいた。 そしてなんと、決勝に向けマシンメンテナンスをしていた時にリヤサスペンションリンクにクラックが入っていることが判明した。車体リヤ回りの違和感の原因かもしれない。チームはすぐに部品を交換し決勝に向け準備を進める。

今回はいつものように最後のレースとなったGP250クラス。定刻の16時20分、決勝レースがスタートされた。スタートで出遅れた伊藤は後方集団に飲み込まれ12番手まで順位を落としてしまう。必死の巻き返しでオープニングラップを10番手とポジションを二つ上げてコントロールラインを通過。上位集団が14秒台で離れてゆく中17~18秒台で周回する第3グループの中でバトルを展開。このとき伊藤のマシンはリヤサスリンクの問題から出ていたと思われる違和感は改善していたが、逆に各高速コーナー立ち上がりでリヤタイヤの跳ねと横滑りに序盤から悩まされる事となっていた。

タイヤの磨耗と共に状況は更に悪化してゆくが伊藤は予選タイムを更新する走りでレース中盤には8番手まで上昇。それでも後続を引き離すことはできず集団のままレース終盤に突入する。10周目には一度11番手まで順位を落とすが最終ラップに2台を抜き9番手でチェッカーを受けた。


ST600・中山英樹


草薙選手が怪我により欠場のため急遽代役参戦となった中山選手。
鈴鹿4時間耐久では小松選手とペアを組み3位表彰台を獲得した中山ですが、全日本選手権は初挑戦。激戦の鈴鹿で予選通過も危ぶまれる状況での参戦となりました。

金曜日の公式練習はコースコンディションも悪いため、マシンセットに重点を置き走行を実施。ポジション、サスセット、エンジンフィーリングなどを少しづつ自分好みにセットしてゆくことに終始して初日を終えた。翌、土曜日の公式予選。1回目のセッションで2分24秒を記録してクラス23番手、総合46番手となる。鈴鹿のフルグリッドは44台のためこのままでは予選落ちとなってしまう。そして迎えた2回目の予選。中山はこのセッションの4周目に2分22秒を記録して一気にポジションを総合41番手に上げる。更に区間ベストでアタックを続けるが最終セクションシケインでクリアラップを旨くとることが出来ずベストタイム更新には至らなかった。結局4周目に出したタイムがベストタイムとなり激戦の鈴鹿で総合41番手を獲得し予選通過を果たした。

日曜の決勝当日、天気は事前予報と大きく変わり快晴の真夏日となった。路面温度が急速に上がり決勝レースは上位陣に転倒が相次ぐ荒れた展開となった。5周目にトップの野田の転倒を皮切りに、トップに立った小西、国川、生形、レース終盤には武田、大石といったヤマハ勢も転倒を喫して戦列を去ってしまう。

そんな荒れたレース展開の中、中山は確実にポジションを上げてゆくが3周目にヘアピンコーナーで中山も転倒を喫してしまう。幸い軽いスリップダウンだったためマシンを起こし戦列に復帰。予選タイムを超える22秒495のベストタイムを記録して最後まで走りきり、31位完走でレースを終えた。

DOG FIGHT RACING の次回のレースは、いよいよ3週間後に開催される世界グランプリ・日本大会となります。伊藤勇樹のGP初挑戦です。よろしくお願いいたします。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明