2011′ 10/30 全日本選手権(最終戦) 第7戦 鈴鹿
最終戦シングルフィニッシュ(8位)でランキング11位を獲得!
伊藤勇樹・ST600クラス
トラブルを乗越えポイント獲得(15位)、ランキング19位に上昇!
阿久津晃輝・ST600クラス
復帰戦を無事完走で締めくくる!
全日本選手権最終戦が鈴鹿サーキットで開催されました。
藤田、伊藤、阿久津の3名が今季の最終戦でそれぞれが自己ベストを更新。
ベストリザルトを記録してくれました。
そのレース結果をご報告致します。
イベント名 全日本選手権 最終戦
日時・場所 2011年10月30日・鈴鹿サーキット(三重県)
観客動員数 21,000人
レース
JSB1000 #19 藤田 拓哉 予選 14位 決勝ヒート1 8位 ヒート2 10位
ST600 #71 伊藤 勇樹 予選 23位 決勝 15位
ST600 #26 阿久津晃輝 予選 32位 決勝 28位
JSB1000
最終戦の鈴鹿は震災の影響からサーキットのスケジュールが空かず事前テスト無しでの参戦となった。夏の8時間耐久や会員の走行会に参加できる地元ライダーに対して、練習量が圧倒的に不足している藤田だが、不利なアウェイでどこまで戦えるか真価が問われる最終戦となった。
公式練習初日。
晴天に恵まれコンディションは上々なのだが、藤田の走りは今一歩冴えない。
ピットインを繰り返しセットアップの変更を試みる藤田。
少しずつマシンセットは改善されてゆくが、タイムが詰まってこない。
自己ベストの14秒にも届かない15秒台のタイムで止まってしまう。午後の走行に入っても同様の悪いリズムが改善できないまま初日を終え、総合22番手に留まる。
今年一年、藤田は昨年の問題を克服するために様々なライディングをトライし、多くのアドバイスを頂いてきたが完全に消化不良状態。そこでチームは最終戦はレースの最大の醍醐味、「前にいる奴はみんな抜いちゃうぞ作戦」に変更を決めた。余計な事は考えずひたすら走る事だけに集中させ、とにかく喰らい付いてゆく闘争本能で藤田を覚醒させる事にしたのだ。
翌土曜日。午後一番にJSB1000クラスのノックアウト予選が始まった。真っ先にコースに出る藤田は1周目にトップライダーの集団にもまれながらコントロールラインを通過。セクター1、セクター2と自己ベストを更新し、2周目に自己ベストを大幅に更新する2分13秒383を記録。
直後に赤旗が提示されピットに戻ってきた藤田の顔が明るい。その後も単独でも13秒台を記録しアベレージが上った藤田はQ1を通過。タイヤを交換し、Q1の勢いのままQ2に出走。今回も真っ先にコースインをした藤田は再び各セクターで自己ベストを更新。なんと2周目に2分12秒928を記録。
更にペースを上げる藤田は3周目に更にタイムを上げ、2分12秒314を記録。リーダーボードのトップテンに入ってきた。この後上位陣が終盤にタイムを上げ、Q2突破はならなかったが、自己ベストを2秒以上更新し、単独でも12秒台で周回できるスピードを掴んだ藤田。チームの作戦は大成功だった。
心配された天気も何とか持ちこたえてくれた決勝日。
曇り空ながら気温21度とすごし易いコンディションで朝を迎えた。藤田は朝のフリー走行でも真っ先にコースイン。総合11番手タイムを記録するなど決勝に向け調子を上げていた。
決勝ヒート1
そして迎えた第1ヒート。
雲行きが怪しくなってきた中で定刻11時にコースインが始まった。各選手がグリッドに付いたころからポツリポツリと雨が落ち始める。そして選手紹介が終わりウォーミングアップランが始まろうとしたころには雨が本降りになり始めた。この雨によりスタート直前にレース進行が中断され全車が一度ピットに戻る。
急遽タイヤをレインタイヤに交換しマシンセットアップを変更。雨のレースに備える。突然のコンディション変更により急遽フリー走行が設定されたが、レインタイヤのバックアップが無い為、無駄な走行で決勝のレインタイヤを磨耗させるのはレース終盤で苦しくなると判断したチームは藤田にフリー走行不出走を指示。藤田はぶっつけ本番で雨のレースに臨む事となった。
そして決勝レースがスタート。
16番グリッドから素晴しいスタートを決めた藤田はオープニングラップを11番手で通過。一気に5台を抜いてきた。続く2周目に10位に、更に6周目に9位にポジションアップしてシングルに入ってきた。集団を抜け出た藤田は前を行く8番手の清水選手を追いかけるが、その差は15秒以上。残り周回数9周だと清水選手に対して1秒以上の速さでも追いつく事が出来ない。しかし藤田はなんと2秒以上速いペースで追いかけてゆく。
レース終盤、ラスト3周で清水の背後に追い着いた藤田は一気にこれを交わし8番手に浮上、最終ラップを迎えた。必死に食らいつく清水選手を振り切りそのままチェッカー。今期のベストリザルト8位でチェッカーを潜った。
決勝ヒート2
午後の第2ヒートは定刻よりも時間が遅れ16時に決勝がスタート。
周回数も12周に減算してのレースとなった。
気温、路面温度とも大幅に下がり、第1ヒートよりも厳しいコンディションでのレースとなった第2ヒートで 藤田は再び素晴しいスタートダッシュを決めた。オープニングラップを9番手で通過。4番手集団の後ろにつけて帰ってきた。
しかしここからペースが上がらない、のちに「タイヤの皮が剥けるのに時間が掛かってしまって序盤のペースがあげられなかった」との言葉通り徐々に集団から離されて行く。3周目には11番手まで順位を落とし一度は離された藤田だがここからペースを上げて行く。
6週目に10番手にポジションアップし、10周目には23秒台を記録するペースで一気に8番手争いの集団に追い着くと更にペースを上げ一気に前車を抜きに掛る藤田。しかしデグナーコーナー2個目で大きくハイサイド。ぎりぎりで転倒を免れた藤田だがこれで前車との差が再び広がってしまいジ・エンド。
そのまま10番手でチェッカーを潜った。
途中記録した23秒台のタイムは全体の7番手のタイムで6位に入った選手よりも早いペースで走っていただけに序盤のペースダウンが惜しまれるレースとなった。
ST600・伊藤勇樹
アジア選手権・中国大会で素晴らしい走りを見せた伊藤は、一回り成長した走りを最終戦鈴鹿で立証するために気合充分で乗りこんできた。鈴鹿はGP250時代に経験はしているが、ST600では初であり、しかも3年振りとなる鈴鹿。全くの未知数である。
金曜日の公式練習1本目は早朝の走行のため、慎重な走り出しで2分18秒277のタイムで15番手につけた伊藤。午後の走行は路面温度も上昇し全体のタイムも大幅にアップ。伊藤もマシンセットを詰めながら確実にタイムを詰めてゆき、走行終盤に2分16秒台に突入。総合15番手のタイムで初日を終えた。
走行後にデータを見直し15秒前半。旨くまとまれば14秒台も狙える状態である事を確認したチームは、公式予選に向けセットを詰めて行く。迎えた公式予選。今回は1クラスのため予選も1回のみ。一発勝負の予選が始まった。伊藤はコースインして直ぐにピットイン。マシンが走らないと訴えてきた。エンジンマップ、ギア、それぞれを昨日の状況に戻してゆくが改善されない。各セクションでタイムを落として行く伊藤。
特に高速セクションでタイムの落ち込みが激しく上位についてゆけない。それでも昨日のタイムを更新する2分16秒554を記録するが、周囲のライダーもタイムを更新してゆく中では順位を上げる事が出来ない。結果23番手と昨日よりも大幅に順位を落としてしまい、伊藤にとっては非常に厳しい予選結果となってしまった。マシンはその後の点検で異常が見つかり、チームはこれを修復。翌日の朝のフリー走行を迎えた。
マシンが復調した伊藤は本来のスピードを取り戻しフリー走行で総合8番手タイムを記録。決勝への期待が高まる。そして迎えた決勝。上々のスタートで飛び出した伊藤はオープニングラップを19番手で通過。大集団の中コース上ではめまぐるしく順位が入れ替わる激しいドッグファイトが展開される。
レース中盤になっても11番手争いはひとつの大きな団子状態で周回を重ねてゆく。この中で伊藤は確実にポジションを上げて行き9周目には17位までポジションをアップ。更に11周目に15番手までポジションを上げポイント獲得圏内に入ってきた。そして迎えたラストラップ。集団の先頭を走る11番手の手島選手まで1秒の差でホームストレートを通過する伊藤。真後ろにはベテランの横江選手が迫っている。伊藤はこれを振り切りそのまま15位でチェッカー。L貴重な4ポイントを獲得した。
ST600・阿久津晃輝
前戦の岡山大会を怪我のため欠場した阿久津は、怪我も順調に回復して最終戦鈴鹿に臨む事が出来た。とはいえ 菅生大会から大きく間の開いてしまった阿久津。全日本のペースを取り戻すには苦戦が予想される。
迎えた金曜日公式予選。
1本目の走行中に阿久津のマシンにトラブルが発生。シフターが振動により作動してしまうようで時折失火を繰り返してしまう。ピットインを繰り返すが改善されず阿久津は1回目の走行では2分21秒507のタイムで31番手に沈む。
マシンを修復して臨んだ午後の2回目の走行ではトラブルは改善できたものの完全に乗り遅れてしまった阿久津はタイムを2分19秒161にまで更新するものの総合で30番手に留まる。
翌土曜日。
ゆっくりコースインした阿久津徐々にペースを上げて行くが、全体的なペースが遅い。昨年のベストタイム16秒台に遠く及ばない2分18秒505のタイムで予選を終えた。結果32番手と厳しいポジションから決勝レースに臨む事となった。
迎えた決勝。今回も抜群のスタートを見せた阿久津は第1コーナー進入時点でなんと伊藤の前にまでポジションを上げてきた。何とかポジションを死守しようと懸命の走りを見せる阿久津。しかしペースの速い集団が後方から襲い掛かり徐々にポジションは後退。27位でチェッカーを潜った。
DOG FIGHT RACING の2011年の全日本選手権日程は全て終了となりました。
今年一年、皆様のご支援ご協力により震災という想定外の天災により始まった波乱のシーズンを 無事終える事が出来ました。ライダー&チームスタッフ一同より厚く御礼申し上げます。
有難うございました。
ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明