DOGFIGHTR
レース結果報告
鈴鹿8時間耐久 決勝201周を走り切り17位完走
藤田が18歳となり迎えた鈴鹿8時間耐久レース。
ライダーにとってもチームにとっても初挑戦となったレースそのレース結果をご報告致します
イベント名 FIM世界耐久選第2戦 鈴鹿8時間耐久ロードレース
日時・場所 2013年7月28・鈴鹿サーキット
観 客 10.9000人(4日間)、決勝日6,1000人
レース結果
EWC #83 TEAMJP DOG FIGHT RACING・YAMAHA (藤田 / 木村 / 田村)
予選13位 決勝 17位(201周)
プロローグ
藤田がJSB1000に参戦を開始した15歳の時から3年が経ち、ようやく18歳となり鈴鹿8時間耐久の参戦が叶いました。
藤田の参戦はかねてからの計画ではありましたが、実際に参戦に漕ぎ着けることができたのは、今回のパートナーであるTEAMJPとの
コラボがあったからです。
アジアを中心にレース参戦支援や、若手育成に熱心な活動を見せるTEAM JPとの出会いは2010年に遡り
ますが、TEAMJPのオーナー兼ライダーである木村選手との出会いから始まり、中国でのレース参戦を通し親交を深め、そしてアジア
の海外ライダーと共に鈴鹿8時間耐久に参戦する計画が始まりました。
今年は予定をしていた中国人ライダーや、その代役として予定
した外国人ライダーのスケジュール調整がうまくいかず、海外とのジョイントは出来ませんでしたが、若手育成、そして今後に向けた
チームの経験値アップのために、藤田と木村選手、そして急遽抜擢した田村選手の3名で鈴鹿8時間耐久レースにチャレンジすること
となりました。
事前テスト
JSB1000で成長を見せている藤田は事前テストから常にトップテンに入る走りを見せており、予選での上位進出の夢は
大きく膨らんで行きました。今回からPCメカに田中氏を迎え、自己ベスト更新に向け徹底的に走りを解析してもらい、その甲斐あって
徐々にマシン&ライダーのセットアップも進み、順調な仕上がりを見せておりましたが、2回目の公開テスト初日に130Rで転倒。
藤田は右足の膝を痛めてしまいました。
当初は骨折や靭帯断裂なども心配されましたが、大事には至らず、強度の打撲と診断され、
2日目のテストをキャンセルして、レースウイークまで回復を待つことになりました。
第2ライダーを務める木村選手は、一昨年に負った怪我からの復帰戦となる8耐チャレンジですが、初めての鈴鹿、初めてのヤマハ
マシン、そして初めての16.5インチタイヤと初めてづくしの中テストがスタート。初ライドで2分25秒を記録し、そこから徐々に
走りを修正し、2回のテストでベストタイム2分21秒まで更新することができました。しかし木村選手は今年50歳。また1年以上
レースから離れていたため真夏の鈴鹿での連続走行に体力的な負担が心配されました。
そして第3ライダーには全日本選手権・JSB1000に参戦しており、第2戦の鈴鹿で転倒を喫しケガから回復した田村選手が
参加。普段乗るスズキのマシンとの違いや、16.5インチタイヤへの適応に手こずりながらも徐々に走りをアジャストして
ペースを上げてくる所はベテランならではの安心感があります。最後は決勝を想定した燃料満タン仕様でセットアップを行い、
2分18秒のアベレージ周回を重ねてテストを締めくくってくれました。
レースウイーク
レースウイークに入り、初日の午前中に受付と車検を終えたが、ここで最初のトラブルが発覚。暖機を始めたマシンからオイルが漏れ
てきたのである。オイルポンプ部の損傷のようで急遽エンジン修復に取り掛かり何とか走行に間に合わすことができました。
怪我の回復が心配された藤田が最初に乗車すると、様子見の確認走行ながら12秒795を記録して総合13番手とフィーリングは良好で、
前回テストで仕上げたデータでマシンはうまくまとまっているようでした。
続いて乗車した田村選手が18秒645。木村選手が21秒745とほぼ自己ベストに近いタイムで走行。初日の乗り出しとしては上々の
滑り出しであった。午後の走行も全員がタイムをあげ、藤田が記録した11秒398のタイムで初日の総合順位を12番手で終えた。
公式予選
藤田の足の怪我の回復は100%とはいかず、全力でアタックできるレベルには回復していない。8分の力で走ってもアタックは数周が
限界でロングランには不安を隠すことができない。予選前のフリー走行も軽く流す程度にとどめて公式予選に臨む事となりました。
公式予選は藤田、田村、木村の順で出走する。
路面温度や天候を見て出走順を決めるが、第1ライダーの2回目の予選時間は15時と
なるため、午前中の1回目の予選が勝負。逆に第3ライダーは2回目の走行時間が17時となるため路面温度も下がりタイムが出やす
いコンディションとなるが、夕方付近の天候が不安定なため、藤田を第1ライダーのままで行く事に決めました。
怪我によりワンアタックが限界の藤田はコースインして3周目に各区間でベストタイムを記録。2分9秒台に突入して総合7番手に
浮上する。その後3台のマシンがタイムをあげ藤田のタイムは10番手に下がり予選終了時刻が迫ってきた。このままいけばトップ
テンに残れるところだったが最後の最後に玉田選手が9秒代に飛び込んできて11番手に押し出されてしまった。それでも目標の
10秒の壁をワンアタックで越えることができた藤田にとって収穫は充分にありました。
続く田村選手。こちらも好調で2周目に自己ベストを更新する2分17秒台に突入。更にペースを上げて行くが、なんとデグナー
コーナー1個目で転倒を喫してしまう。ライダーに大事はなかったが、マシンは激しく損傷し、修復に時間が掛かりそうな状況の為、
木村選手は1回目の予選をスペアマシンで走ることとなってしまった。
2回目の予選に向けマシンの修復を進めるが、損傷が激しく整備に時間がかかる。それでもなんとか2本目の走行に間に合わす事が
出来、再び藤田から順に2回目の予選を開始。
路面温度の上昇や、転倒によるマシンのダメージにより完調とはいかないマシンと判断した藤田は、タイムアタックを諦め決勝に向け
たセットアップに頭を切り替え走行を続ける。
田村選手も2回目の走行は序盤慎重な走りに徹するが、それでも予選終了間際に17秒3の自己ベストを記録。転倒に慌てることなく
しっかりとライディングを整えてきた。そして最後のタイムアタックとなった木村選手。3周目に一気にペースを上げ自己ベストを
一気に短縮する19秒代に突入。その後も20秒代のアベレージで安定して走行し、順調な仕上がりを見せてくれた。
公式予選は1回目を終えた時点では11番手だったが、やはり夕方の走行で2チームがタイムを伸ばし、総合13番手となった。
しかし上位はファクトリー系マシンばかりで、プライペーター勢としてはBMWの酒井選手に次ぐ2番手の堂々たるタイムである。
決勝前日
決勝前日のフリー走行では、満タン状態のマシンで最後の確認走行を3名のライダーが各々走行。大きな問題もなく翌日の決勝に
備えることとなった。しかしメカニックたちはここからが本番。決勝に向け最終準備とタイヤ交換、給油といったピット作業の
最終練習が行われた。
今回の参戦に当たりマシンは普段全日本選手権に参戦するマシンをそのまま持ち込み、タンクのみ24リットルの大型タンクに変更
しただけの当チームのマシンは、タイヤ交換にクイックシステムを持たない状態。フロントフェンダーやリヤブレーキを脱着する
ノーマルシステムは大きなタイムロスを覚悟しなければならないが、アイデアと努力でメカニックたちはその作業時間を詰め、
タイヤ交換と給油作業で30秒を切る早業を見せてくれた。ファクトリー勢の中には全ての作業をその半分で終えるところもあるが、
一般的なチームに引けを取らない速さである。決勝に向けた準備は整った。
一方ライダーのアベレージタイムや、前述のピット作業の時間から全体のタイムスケジュール管理や、ライダー交代のシュミレー
ションは続く。天気の急変やセーフティーカーが入った場合の対応、そのような状況の中で最も多くの周回を周り、現状の力を
出し切る事が出来るプランを練上げる。目標はノートラブル、ノークラッシュ、そして200ラップ超えの完走である。
そのためのプランは藤田が5走行、田村が4走行、木村が1走行の合計10スティント。9回ピットと多分最多のピット回数となる
作戦を選択した。
またこの日はピットウォークやライダートークショーなどが
開催され藤田は多くのファンからサインや声援を頂きパワーを充電していた
決勝レース
迎えた決勝。朝のフリー走行が始まり藤田が順調にタイムを刻んで予定の周回で帰ってくる。本番に向けた最後の予行練習として
タイヤ交換、給油を終えてライダー交代して田村選手がコースインする。しかし田村選手のペースがおかしい。次の周にピットイン
した田村選手だがピットロード途中でマシンを止めてしまう。なんとリヤアクスル付近が破損してタイヤがロックしてしまったのだ。
急ぎマシンをピットに戻し修復を行い木村選手にバトンをつなぐ事ができた。木村選手は順調なタイムで周回しておりマシンの
問題は解消したが、問題はトラブルの原因だ。これが決勝中に再発したら完走どころではなくなる。
破損した部品を点検すると、その原因が部品の不具合ではなくタイヤ交換の際のミスが原因と判明。リヤタイヤ担当メカと検証を
行い再発防止を図った。しかしこのトラブルによりメカニック全員に確実な整備といった意識が芽生えたようだ。
クイックシステムを持たない不利な条件ながら、他に負けない交換時間でライダーの走りをバックアップしたいという思いが
どこかで焦りを産み、ミスに結びついていたのだ。メカニックたちに冷静さが戻った瞬間であった。
エンジントラブル、転倒、整備ミス・・・膿を出しきり決勝を迎えた。
11時30分、8時間耐久のスタートが切られた。右足をかばいながらマシンに駆け寄った藤田は少し出遅れたもののオープニング
ラップを15番手で通過。さらにポジションをあげ13番手に浮上。目の前にはエヴァンゲリオンレーシングの出口選手。
藤田は無理をせず出口選手の後方で2分11秒台で周回を重ねてゆく。そして予定通り20周で1回目のピットインして田村選手に
バトンタッチ。確実なピット作業でマシンを送り出す。
ピットインした藤田の燃費が予定よりも良いデータだったが、序盤で無理をする必要もなく、田村選手には予定通り22周でピット
インのサインを送る。一時は30番手近くまで落とした順位を少しずつ回復して23番手で再び藤田にバトンタッチ。田村選手の走行
でも燃費データの向上を確認したチームはこの後からの周回数を増やし、セーフティーカーの導入などにより時間が伸びた時にピッ
ト回数を減らせる可能性に向けチャレンジを開始。藤田、田村と予定周回数をこなし木村選手にバトンタッチ。
初の8耐走行となる木村選手の負担を減らすため走行時間を短めに設定したが、そのような心配は不要とばかりに自己ベスト付近のタイムで周回を重ね
る木村選手。それでもチームはリスクを避け予定通りのピット作戦を実施。藤田が3本目の走行を開始した。時刻は4時間を過ぎ、
周回も100周を超えてきたがまだ半分である。ノートラブル、ノークラッシュで周回を重ねるTEAMJP DOGFIGHTは他車の脱落も
有り、徐々に順位を上げてゆく。終盤に入り4回目の走行を終えた藤田の右足は限界ギリギリの様子。藤田の回復を信じながらも
バックアップに木村選手がツナギに着替えて臨戦態勢でレース展開を見守る。
バトンを受けた田村選手が夕闇迫る走行を開始して暫くすると、ライトオンの指示が出される。そしてこの頃に天候が変化し始める。
強い雨雲が接近し、19時過ぎには雨が降りはじめる予報。チームは雨が降り始めると同時に最後のピットインでレインタイヤに変更
して藤田で逃げ切る作戦を立てるが、中々雨が落ちてこない。燃費ギリギリまで田村選手を引っ張りピットインを遅らせると、西コー
スから雨が降り出し一気にコース上はフルウエットに変わってゆく。次々と想定外のピットインをする他のチームをよそ目にベストな
タイミングでピットに帰ってきた田村選手から最後のバトンを受けた藤田がレインタイヤに履き替えたマシンでコースイン。
ポジションは17番手に上がり、雨が得意な藤田は夜間走行でも他よりも速いペースで周回を重ね後続を引き離してゆく。そして迎えた
チェッカー。目標の200周を超える201周を記録して17番手でゴール。ヤマハ車両3番手の成績で初挑戦の鈴鹿のレースを終えました。
レース画像のタイムラインはこちら
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