レース結果報告
藤田拓哉・11位(第2ヒート)。5ポイント獲得!
伊藤勇樹シングルフィニッシュの8位。
阿久津晃輝23位で全車完走!
全日本選手権の全クラスが揃った本格開催となった第3戦が
栃木県のツインリンク茂木で開催されました。
そのレース結果をご報告致します
イベント名 全日本選手権 第3戦
日時・場所 2011年7月3日・ツインリンク茂木
レース結果
JSB1000 #19 | 藤田 拓哉 予選 11位 決勝 ヒート1 リタイヤ/ヒート2 11位 | ST600 #71 | 伊藤 勇樹 予選 18位 決勝 9位 | ST600 #26 | 阿久津晃輝 予選 31位 決勝 25位 | ST600 #57 | 飯島 高広 予選 不通過 |
JSB1000・藤田拓哉
ライディング改良中の藤田は茂木をとても大事なサーキットと考えている。ロードレースデビューした2008年にGP125で初優勝。国際A級に昇格しGP250にステップアップした2009年はトップ走行中に転倒。そして昨年はJSB1000のビッグマシンに四苦八苦しながら光明を見出したサーキットである。
「いつも茂木がターニングポイントになってきた」と語る藤田は開幕戦(鈴鹿)の悔しさをバネにこのインターバルをトレーニングに勤しんで来た。震災の影響により地元コースながら走り込みが出来なかったが条件は全員一緒。大会1週間前の事前テストでは走りこみに重点を置き、新しくなったコースの情報を収集し、それに合わせたマシンセット、タイヤチョイスと本番を想定しながら最後まで走りこんでいた。
レースウイークに入り金曜日の公式練習。前回の鈴鹿に比べ上位陣のライダーの参戦が少ない。「トップ10は最低限の目標」とコースに出てゆく藤田。気温は30度を越え、路面温度も50度以上となる真夏のコンディションの中、着実にタイムを詰めてゆく。
今回菅生テストで行なったサスセットの変更をさらに進める形で藤田のライディングの変化にマシンセットを合わせて行く作業が続く。午前のセッションを終え9位、午後のセッションでも9位と目標をクリア。少しづつタイムを刻み走りの問題点を解決してゆく。走行データを解析する心強い仲間(ケンヤン・田中氏)も加わり藤田を指導してくれる。それを確実に実践しタイムを詰めてくる藤田。16歳とは思えない仕事振りである。
土曜日の公式予選は今回もノックアウト方式の予選。Q3通過は当たり前でなければいけない。チームはQ1、Q2でハードタイヤでマシンセットをさらに詰め、最後のQ3でソフトタイヤでタイムアタックをする作戦を立てた。
Q1ー11位、Q2ー12位。ハードタイヤのアタックでギリギリでQ3進出を果たした。そしてソフトタイヤに履き替えて臨んだQ3、ベストを更新して11番手。順位こそ上げることが出来なかったが確かな手ごたえを掴み予選を終えた。
朝のフリー走行ではソフトタイヤの持ちを確認してみるがかなり厳しい状態だ。それでも決勝第1ヒートは走りの次元を高めるためにあえてソフトタイヤを選択して決勝に臨んだ。そして決勝スタート。オープニングラップに8番手にポジションを上げた藤田は前方の今野を追う。2周目に自己ベストの54秒57を記録。
3周目に途中ミスをしながらもさらに自己ベストを更新する54秒51を記録。前にいる今野に少しずつ追いつきだした4周目。セクター1、セクター2とコースの半分を通過した時点で自己ベストを0.5秒以上速いペースで今野を追いかける藤田。このまま行けば目標の53秒台が確実と思われたその瞬間、モニター画面の中でV字コーナーでコースアウトするマシンの姿が・・・。その直後、藤田のマシンの転倒を告げるアナウンスが流れた。
マシンを起こしピットに戻ってきた藤田だがチームは第1ヒートのリタイヤを決め、第2ヒートに向けマシンの復旧が始まった。マシンは無事復旧し第2ヒートに臨む準備は整った。藤田とメカニックはタイヤ選択で再びソフトで行くか、それともハードタイヤで18周のトータルタイムをあげる作戦を選択するかをミーティング。結果ハードタイヤのタイムアタックデータと、レースでの持続性確認のためハードタイヤを選択。
決勝に臨んだ。
再び好スタートを切った藤田はオープニングラップを8番手で通過。しかしここからペースが上がらない。徳留、須貝といったベテランに次々と交わされ、それについてゆくことが出来ない。タイムも55秒台が精一杯で単独の走行が続く。それでもトップ10ポジションで力走する藤田だったが残り4周となった所で56秒台にタイムが急速に落ちてきた。
タイヤが限界のようでコーナー新入から立ち上りまで大きくスライドするリヤタイヤをコントロールしながらの走行だ。このタイムの落ち込みで後方から追い上げてきた清水が一気に藤田に接近。 残り2週となった所で清水に抜かれてしまい惜しくも11番手でチェッカーを潜った。
藤田コメント
「最後はタイヤが持たなくて追いつかれちゃいました。でもいい感じがつかめてきたので次は頑張ります」
ST600・伊藤勇樹
前回オートポリス大会で成長を見せた伊藤が茂木に入りその好調を維持。公式練習、予選とセッションごとに自己ベストを更新し、トップテンにはまだ届かないものの確実な成長を見せていた。
これまではマシンセッティングなども「あと1回転イニシャルかけて」とか、「車高を1mm上げて」といったセットの詰め方だったが、最近は「あと4分の1回転イニシャルかけて」、「伸側ダンパーを片方だけ1つ強くして」など、セッティングの詰め方がとても繊細になってきた。
ST600マシンはどちらかといえば鈍感な車体なのでマシンの挙動や、タイヤのグリップコントロールが非常に難しい。このマシン性能を100パーセント引き出すためにはライダーに非常に繊細なセンサーが要求される。伊藤の成長はこの辺にも見て取れるところがあり今季の成長の証だと思う。
朝のフリー走行で更なるジャンプアップを予感させた伊藤。決勝レースではスタート良く飛び出しオープニングラップを11番手で戻ってきた。レース序盤、周回ごとにポジションを上げる伊藤は6周目に8番手にポジションアップ。レース中盤は7番手争いの第2集団にもまれながら周囲をうかがう伊藤。
終盤に入り集団のトップに浮上した伊藤は少しづつ集団を引き離しにかかる。「このまま7位でチェッカーを」と願うチームクルー。しかし後方には一度抜いた浦本選手がペースをあげて迫ってくる。そして13周目、再び浦本選手に抜き返された伊藤は、これを最後まで攻め立てるが後一歩届かずチェッカーをくぐり、8番手シングルフィニッシュを獲得。
ST600・阿久津晃輝
今季ダンロップタイヤに変更し、本来の走りを取り戻すために試行錯誤を繰り返している阿久津。思うようにならない歯がゆさを抱えながらも冷静に一つ一つメカニックと確認しながらセットアップを進める姿はさすがに昨年トップ10に迫る走りを見せた実力者。自分の走りを取り戻せば結果は付いてくることをしっかりと自覚しているようだ。
それでも公式練習では自己ベストに2秒以上も遅いタイムでもがいていた。そんな阿久津だが公式予選で少し光明が見えてきた。最後のアタックではセットを外してしまうが方向性は見え始めた。
決勝レース。
オートポリスに続き素晴らしいスタートダッシュを決めた阿久津は一気に7台を抜き去り24番手でコントロールラインを通過。このスタートのうまさと1周目の速さは阿久津の最大の武器だ。
レース序盤、予選タイムを更新して後続を押さえ込む阿久津。タイムで上回る後続を押さえきり、23番手でチェッカーを潜った。本番になればさらに力を出す阿久津の集中力。走り込みが出来なかった茂木だが巧妙が見え始めた。次戦の菅生は得意なコースの一つである。本格的な復活に向けここからが正念場だ。
ST600・飯島高広
国際A級に昇格して全日本選手権初参戦の飯島はその力を見せることが出来ないまま、全日本の壁の高さを思い知らされる結果となった。周囲の流れに乗ることも出来ないまま自己ベストにも届かない走りに本人が一番悔しい思いだったろう。
新しくなった路面に今までのセッティングが合わず、歯車が狂ったままあっという間にレースウイークを終えることとなってしまった。事前テストが出来ない環境や、変わってしまった路面など、様々な環境の変動があってもそれは皆同じ条件。そしてそのような中でベストを引き出すことが出来なければ全日本では走れない。
飯島にとってはとてもよい経験になったと思うし、「菅生でリベンジです・・・」と本人も決して下向きになっていない。次の菅生はこの4人のメンバー全員で笑顔で決勝レースを終えられることを願う。
ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明