2013′ 4/14 全日本選手権 第2戦 鈴鹿サーキット
イベント名 全日本ロードレース選手権 第2戦
日時・場所 2013年4月14日・鈴鹿サーキット
レース
JSB1000 #33 藤田 拓哉 予選 11位 決勝 10位
JSB1000・藤田拓哉
前戦の不完全燃焼を晴らすべく鈴鹿に乗り込んできたが、フリー走行初日はまたまた寒い一日となり、朝方からほとんど温度が上がらず、午後になると西風も強くなりコンディションは悪くなる一方。今回は、前回のテストで良好だった車体データからリヤのバネレートをアップして120Nでスタートを予定していたが、路面温度18度とあまりにも寒いので、柔らかいバネの116Nに戻してスタートしました。
ファーストアタックで11秒6を記録し、感触は良好。路面温度(18度)が低く全体的にグリップ不足だが、リヤサスはやはりバネが柔らかいせいか底付き気味で低いところで作動している。イニシャルを上げてみるが、効果は上がらず、逆に初期の作動性が悪くなり、シケインなどの追従性が悪くなりNG。それでも午前中は総合7番手とまずまずの出だしでした。
午後の走行はバネレートを120Nに上げた仕様でコースイン。路面温度は24度に上がったものの風が強く、ストレートでは追い風となる状況。更に、今回は参加台数が多く、コース上は非常に混雑しておりクリアラップを見つけるのが難しい状況なので、午後の走行では真っ先にコースイン。
先ずは中古タイヤで10秒9を記録。リヤのバネレートアップも良い方向に決まりピットインと同時にタイヤをフレッシュにして若干のイニシャルアップで再びコースインしました。
このセットアップでマシンのまとまりが出てきたのですが、タイムアタックに出た3周目の1コーナーで追い風に押し出されて止まり切れずにコースアウトしてしまいました。
走行後のコメントでもマシンのセットは最後のセットでほぼまとまってきたのでこのまま翌日の予選に臨むこととなりました。
予選
放射冷却で冷え切った朝を迎えた土曜日。それでも走行時間の11時には路面温度も30度近くまで上がり、風も弱い向かい風となりコンディションはまずまず。
しかし夜に小雨が降り、路面の埃が浮き上がってしまい全体的にグリップ不足。更に今回は2&4のため、4輪の走行ラインやゴムの違いからベストとはいえない状況。まーそれは皆同じですが・・・。
トップでコースインして2周目に2分10秒862を記録。バックストレートで前に出た中須賀選手の背後につけて3周目に突入。セクター1、セクター2、そしてセクター3と自己ベストで通過して8秒台が見えてきた拓哉ですが、中須賀選手の真後ろに迫って進入した最終シケインの1個目でブレーキペダルが縁石に当たり転倒を喫してしまいました。
すぐにマシンを起こしてピットに戻りマシンを修復して予選に復帰しましたが2分10秒04までタイムを上げてところで予選終了となりクラス7番手。総合11番手となりました。
決勝
日曜日朝のフリー走行は、好天に恵まれたものの放射冷却で気温は低く、8時25分からのフリー走行時点で路面温度は18度。それでも昨日の嫌なリズムを断ち切り、決勝に向け良いセットアップを確認するため、拓哉はピットインを繰り返しながらセットの確認を行ってゆきました。総合10番手、タイムは10秒台とまずまずの感触で、このまま決勝に向かうことを確認。
準備は整いました。しかし、このときちょっと気になるコメントが出ていました。「マシンの切返しが重い」と・・・。気温や路面温度の低さからくるダンパーの渋さや、タイヤ内圧が上がりきらず重く出たのでは、と解釈して、午後には気温が上がることを想定して、チームはそのままのセットで決勝に臨むことを決定しました。しかし決勝で甘く見た付けが返ってきました。
決勝を迎える午後になり、気温は上がり路面温度も30度前後まで上昇してきた。そして迎えたスタート。一瞬反応が遅れた拓哉は12番手で第一コーナーに侵入。ここからマシンをアウトに振り一気に2台を抜きS字コーナーへ。更にS字で渡辺を抜き9番手に浮上。目の前に上位集団を捉えて追走してゆくがスプーンコーナー2個目でリヤが大きくスライド。加速の鈍った拓哉を 渡辺選手が一気に抜き去り前に出る。続くシケインで出口選手にも交わされ11番手に後退。更に1コーナー進入で酒井選手にも交わされ12番手まで順位を落としてしまう。
後でわかったのだがウォームアップラップでエンジンを始動する前に拓哉は何故かトラクションコントロールのスイッチを切ってしまっていたのだ。(オンボードカメラに映る不可思議な行動??何故??)
レースは1周目に後方の選手数台が200Rで転倒したために、2周目にセーフティーカーが導入される。その後4周に渡りセーフティーカーが先導する形となり、残り10周でレースが再開される。拓哉はこのセーフティーカー導入の間、前後のライダーたちがローリングや加速減速を繰り返してタイヤを温めているのに対し、拓哉はあまりマシンを動かさずスロー走行を続けていた。これによりタイヤが冷えてしまい、リスタート後にマシンが重く、またリヤタイヤのグリップ不足で中盤以降を戦うこととなってしまった。「タイヤを温存したかったから」と後のコメントで語る拓哉。経験不足からくるミスである。
レースは終盤、前方の8番手争いの集団から徐々に離され、後方から追い上げてきた今野選手にもパスされてしまう。それでも9周目に酒井選手がスプーンでオーバランして後退、14周目に渡辺選手がMCシケインで転倒。そして最終ラップにはシケインで出口選手が転倒で戦列を離脱したことにより拓哉は10位でチェッカーを受けることが出来ました。
総括
今回は決勝に向けてのセットの詰めが甘かったことや、セーフティーカー導入時のタイヤの温め方など学ばなければいけないことが多くありました。そして何故かの操作ミスによるトラクションコントロールの解除。その結果スプーンでのハイサイド寸前のスライドや、シケイン立ち上がりでのスリップなど、タイヤにも厳しい状況を自ら招いてしまい自滅したレースでした。
拓哉は事前テストでは8秒代を記録しており、調子も良い状態だったが、肝心のレースウイークに力を発揮することができなかった。若いライダーゆえにチームが適切なアドバイスやセットアップの方向を示すことが必要でした。まだまだチームも学習してゆかなければいけませんね。
焦りは禁物。次戦に向け今一度やり直しです。
ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明