2011年

2011.10.31.
2011′ 10/30 全日本選手権(最終戦) 第7戦 鈴鹿 総括

2011′ 10/30 全日本選手権(最終戦) 第7戦 鈴鹿


藤田拓哉・JSB1000クラス
最終戦シングルフィニッシュ(8位)でランキング11位を獲得!

伊藤勇樹・ST600クラス
トラブルを乗越えポイント獲得(15位)、ランキング19位に上昇!

阿久津晃輝・ST600クラス
復帰戦を無事完走で締めくくる!

全日本選手権最終戦が鈴鹿サーキットで開催されました。
藤田、伊藤、阿久津の3名が今季の最終戦でそれぞれが自己ベストを更新。
ベストリザルトを記録してくれました。
そのレース結果をご報告致します。

イベント名 全日本選手権 最終戦
日時・場所 2011年10月30日・鈴鹿サーキット(三重県)
観客動員数 21,000人

レース
JSB1000 #19  藤田 拓哉  予選 14位  決勝ヒート1 8位 ヒート2 10位
ST600  #71  伊藤 勇樹  予選 23位  決勝    15位
ST600  #26  阿久津晃輝  予選 32位  決勝    28位

JSB1000


最終戦の鈴鹿は震災の影響からサーキットのスケジュールが空かず事前テスト無しでの参戦となった。夏の8時間耐久や会員の走行会に参加できる地元ライダーに対して、練習量が圧倒的に不足している藤田だが、不利なアウェイでどこまで戦えるか真価が問われる最終戦となった。

公式練習初日。
晴天に恵まれコンディションは上々なのだが、藤田の走りは今一歩冴えない。
ピットインを繰り返しセットアップの変更を試みる藤田。
少しずつマシンセットは改善されてゆくが、タイムが詰まってこない。

自己ベストの14秒にも届かない15秒台のタイムで止まってしまう。午後の走行に入っても同様の悪いリズムが改善できないまま初日を終え、総合22番手に留まる。

今年一年、藤田は昨年の問題を克服するために様々なライディングをトライし、多くのアドバイスを頂いてきたが完全に消化不良状態。そこでチームは最終戦はレースの最大の醍醐味、「前にいる奴はみんな抜いちゃうぞ作戦」に変更を決めた。余計な事は考えずひたすら走る事だけに集中させ、とにかく喰らい付いてゆく闘争本能で藤田を覚醒させる事にしたのだ。

翌土曜日。午後一番にJSB1000クラスのノックアウト予選が始まった。真っ先にコースに出る藤田は1周目にトップライダーの集団にもまれながらコントロールラインを通過。セクター1、セクター2と自己ベストを更新し、2周目に自己ベストを大幅に更新する2分13秒383を記録。

直後に赤旗が提示されピットに戻ってきた藤田の顔が明るい。その後も単独でも13秒台を記録しアベレージが上った藤田はQ1を通過。タイヤを交換し、Q1の勢いのままQ2に出走。今回も真っ先にコースインをした藤田は再び各セクターで自己ベストを更新。なんと2周目に2分12秒928を記録。

更にペースを上げる藤田は3周目に更にタイムを上げ、2分12秒314を記録。リーダーボードのトップテンに入ってきた。この後上位陣が終盤にタイムを上げ、Q2突破はならなかったが、自己ベストを2秒以上更新し、単独でも12秒台で周回できるスピードを掴んだ藤田。チームの作戦は大成功だった。

心配された天気も何とか持ちこたえてくれた決勝日。

曇り空ながら気温21度とすごし易いコンディションで朝を迎えた。藤田は朝のフリー走行でも真っ先にコースイン。総合11番手タイムを記録するなど決勝に向け調子を上げていた。

決勝ヒート1


そして迎えた第1ヒート。
雲行きが怪しくなってきた中で定刻11時にコースインが始まった。各選手がグリッドに付いたころからポツリポツリと雨が落ち始める。そして選手紹介が終わりウォーミングアップランが始まろうとしたころには雨が本降りになり始めた。この雨によりスタート直前にレース進行が中断され全車が一度ピットに戻る。

急遽タイヤをレインタイヤに交換しマシンセットアップを変更。雨のレースに備える。突然のコンディション変更により急遽フリー走行が設定されたが、レインタイヤのバックアップが無い為、無駄な走行で決勝のレインタイヤを磨耗させるのはレース終盤で苦しくなると判断したチームは藤田にフリー走行不出走を指示。藤田はぶっつけ本番で雨のレースに臨む事となった。

そして決勝レースがスタート。
16番グリッドから素晴しいスタートを決めた藤田はオープニングラップを11番手で通過。一気に5台を抜いてきた。続く2周目に10位に、更に6周目に9位にポジションアップしてシングルに入ってきた。集団を抜け出た藤田は前を行く8番手の清水選手を追いかけるが、その差は15秒以上。残り周回数9周だと清水選手に対して1秒以上の速さでも追いつく事が出来ない。しかし藤田はなんと2秒以上速いペースで追いかけてゆく。

レース終盤、ラスト3周で清水の背後に追い着いた藤田は一気にこれを交わし8番手に浮上、最終ラップを迎えた。必死に食らいつく清水選手を振り切りそのままチェッカー。今期のベストリザルト8位でチェッカーを潜った。

決勝ヒート2


午後の第2ヒートは定刻よりも時間が遅れ16時に決勝がスタート。
周回数も12周に減算してのレースとなった。

気温、路面温度とも大幅に下がり、第1ヒートよりも厳しいコンディションでのレースとなった第2ヒートで 藤田は再び素晴しいスタートダッシュを決めた。オープニングラップを9番手で通過。4番手集団の後ろにつけて帰ってきた。

しかしここからペースが上がらない、のちに「タイヤの皮が剥けるのに時間が掛かってしまって序盤のペースがあげられなかった」との言葉通り徐々に集団から離されて行く。3周目には11番手まで順位を落とし一度は離された藤田だがここからペースを上げて行く。

6週目に10番手にポジションアップし、10周目には23秒台を記録するペースで一気に8番手争いの集団に追い着くと更にペースを上げ一気に前車を抜きに掛る藤田。しかしデグナーコーナー2個目で大きくハイサイド。ぎりぎりで転倒を免れた藤田だがこれで前車との差が再び広がってしまいジ・エンド。

そのまま10番手でチェッカーを潜った。

途中記録した23秒台のタイムは全体の7番手のタイムで6位に入った選手よりも早いペースで走っていただけに序盤のペースダウンが惜しまれるレースとなった。

ST600・伊藤勇樹


アジア選手権・中国大会で素晴らしい走りを見せた伊藤は、一回り成長した走りを最終戦鈴鹿で立証するために気合充分で乗りこんできた。鈴鹿はGP250時代に経験はしているが、ST600では初であり、しかも3年振りとなる鈴鹿。全くの未知数である。

金曜日の公式練習1本目は早朝の走行のため、慎重な走り出しで2分18秒277のタイムで15番手につけた伊藤。午後の走行は路面温度も上昇し全体のタイムも大幅にアップ。伊藤もマシンセットを詰めながら確実にタイムを詰めてゆき、走行終盤に2分16秒台に突入。総合15番手のタイムで初日を終えた。

走行後にデータを見直し15秒前半。旨くまとまれば14秒台も狙える状態である事を確認したチームは、公式予選に向けセットを詰めて行く。迎えた公式予選。今回は1クラスのため予選も1回のみ。一発勝負の予選が始まった。伊藤はコースインして直ぐにピットイン。マシンが走らないと訴えてきた。エンジンマップ、ギア、それぞれを昨日の状況に戻してゆくが改善されない。各セクションでタイムを落として行く伊藤。

特に高速セクションでタイムの落ち込みが激しく上位についてゆけない。それでも昨日のタイムを更新する2分16秒554を記録するが、周囲のライダーもタイムを更新してゆく中では順位を上げる事が出来ない。結果23番手と昨日よりも大幅に順位を落としてしまい、伊藤にとっては非常に厳しい予選結果となってしまった。マシンはその後の点検で異常が見つかり、チームはこれを修復。翌日の朝のフリー走行を迎えた。

マシンが復調した伊藤は本来のスピードを取り戻しフリー走行で総合8番手タイムを記録。決勝への期待が高まる。そして迎えた決勝。上々のスタートで飛び出した伊藤はオープニングラップを19番手で通過。大集団の中コース上ではめまぐるしく順位が入れ替わる激しいドッグファイトが展開される。

レース中盤になっても11番手争いはひとつの大きな団子状態で周回を重ねてゆく。この中で伊藤は確実にポジションを上げて行き9周目には17位までポジションをアップ。更に11周目に15番手までポジションを上げポイント獲得圏内に入ってきた。そして迎えたラストラップ。集団の先頭を走る11番手の手島選手まで1秒の差でホームストレートを通過する伊藤。真後ろにはベテランの横江選手が迫っている。伊藤はこれを振り切りそのまま15位でチェッカー。L貴重な4ポイントを獲得した。

ST600・阿久津晃輝


前戦の岡山大会を怪我のため欠場した阿久津は、怪我も順調に回復して最終戦鈴鹿に臨む事が出来た。とはいえ 菅生大会から大きく間の開いてしまった阿久津。全日本のペースを取り戻すには苦戦が予想される。

迎えた金曜日公式予選。
1本目の走行中に阿久津のマシンにトラブルが発生。シフターが振動により作動してしまうようで時折失火を繰り返してしまう。ピットインを繰り返すが改善されず阿久津は1回目の走行では2分21秒507のタイムで31番手に沈む。

マシンを修復して臨んだ午後の2回目の走行ではトラブルは改善できたものの完全に乗り遅れてしまった阿久津はタイムを2分19秒161にまで更新するものの総合で30番手に留まる。

翌土曜日。
ゆっくりコースインした阿久津徐々にペースを上げて行くが、全体的なペースが遅い。昨年のベストタイム16秒台に遠く及ばない2分18秒505のタイムで予選を終えた。結果32番手と厳しいポジションから決勝レースに臨む事となった。

迎えた決勝。今回も抜群のスタートを見せた阿久津は第1コーナー進入時点でなんと伊藤の前にまでポジションを上げてきた。何とかポジションを死守しようと懸命の走りを見せる阿久津。しかしペースの速い集団が後方から襲い掛かり徐々にポジションは後退。27位でチェッカーを潜った。

DOG FIGHT RACING の2011年の全日本選手権日程は全て終了となりました。
今年一年、皆様のご支援ご協力により震災という想定外の天災により始まった波乱のシーズンを 無事終える事が出来ました。ライダー&チームスタッフ一同より厚く御礼申し上げます。
有難うございました。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明



2011.10.30.
全日本選手権 第7戦 鈴鹿 ライダーコメント・藤田拓哉

☆ライダーコメント☆藤田拓哉


ライダー:#19 藤田拓哉
クラス:JSB1000

2011′ 10/30 全日本選手権 第7戦 鈴鹿

スポンサー様、チームスタッフ、ファンの皆様、今年も一年間ありがとうございました! いろいろな方々のサポートがあって最終戦も戦うことができました。

金曜日☆
事前テストが無い中、向かえた金曜日の最後のテスト。
いろいろなセットアップとなかなか走ったことのない鈴鹿サーキットを速く走るための自分のスキルアップの練習をしました。だんだんよくなってきたもののタイムは、2分15秒3でした。

こんなタイムじゃ全然勝負にならなくて焦っていました。
その時に大先輩のライダーさんにアドバイスをもらいました。

そして土曜日になりました。

土曜日☆
Q1から気合いをいれてガンガン攻めました。 なかなか更新できなかった自己ベストタイムを更新できました。 タイム!2分13秒3 Q2では、さらに前に前に速く走りたいと思って走りました! そしたらまたさらに自己ベスト更新しました! タイム2分12秒3 自己ベストをだしたのですが、Q3までいくことができなくて、レース1では16番手からスタート、レース2では、14番手スタートすることになりました。そしてセットアップの事を含め、自分のスキルアップをメカニックとよく話をしました。
そして日曜日!

日曜日☆
レース1
ドライで行けると思ったのですが、急に雨が降りレースが仕切り直しになりました。
もう一度集中力を高めてレース1を戦いました。
スタートがうまくいき、すぐに10番手くらいにつけました。
そして3周だけとばしました。

そして9番手に上がり、前の8番手を自分のペースをいじした状態で少しずつ追いついてきて、最後に抜いて帰ってこれて、初のシングルフィニッシュ〔8位〕でゴールしてレース1を終えました。

レース2
レース1の時より雨が凄く降っていて、路面もぐちゃぐちゃなぐらい濡れていました。
そしてスタートしたレース2!
またスタートがうまくいき、スタートしてから8番手を走っていたのですが、タイヤのグリップするところまでタイヤの減りが遅くて、うまくタイヤが機能するまでに時間がかかり、どんどん抜かれてしまい11位まで順位を落としてしまいました。

しかしやっとタイヤが機能しはじめてタイムがどんどん上がり、10番手に上がりました。 そこから9番手を目指したのですが途中にハイサイドしかけて転倒しそうになりました。そのハイサイドをおこしてしまったせいで9番手とのギャップがさらにあいてしまって、結局10番手でチェッカーをうけました。

結果は、10番手だったもののタイムだけをみたら7番手タイムだったのでよかったです!!

去年の鈴鹿の雨のレースではビリだったので、今回は8位10位と転倒もなくゴールしたのでよかったです!! 雨の走りも晴れの走りもまだまだ速く走ることができるので、来年はもっと成長できるように日々頑張って行きます!!

本当にスポンサー様・チームスタッフ様・ファンの皆様ありがとうございました!

来年もまたよろしくお願いします!


2011.10.17.
2011′ 10/16 アジア選手権 第5戦 中国(珠海)大会 総括

TeamJP DOGFIGHTR YAMAHA レース結果報告


アジア選手権・SS600 伊藤勇樹ヒート2  6位入賞・年間ランキング14位へ!

前戦の九州・オートポリス大会にスポット参戦し、予選2位、決勝4位と活躍した
伊藤勇樹選手が、日本の「TeamJP」、香港ヤマハの「YES! YAMAHA」、そして中国の
「S&Sモーター」のご協力によりアジア選手権 第5戦・中国大会に引き続き参戦。

そのレース結果をご報告致します

イベント名 アジア選手権 第5戦
日時・場所 2011年10月16日・中国 珠海サーキット

レース結果


SS600 #71  伊藤 勇樹   予選6位  決勝 ヒート1 15位、 ヒート2 6位

アジア選手権 SS600・伊藤勇樹


オートポリス大会に引き続き、アジア選手権に臨んだ伊藤。

今回のチャンスは夏に一度訪れた珠海サーキットの走行練習で、借り物のマシンと中古タイヤで、初走行と思えない非凡なタイムを記録した所から始まっていた。伊藤は初の海外サーキットの走行で、グリップの悪いコースや、経験のないコースの攻略など、多くを吸収して日本に帰ってきた。

この経験を生かし、スポット参戦したオートポリス大会で素晴らしい成績を収めることが出来た。今回再びチャンスを戴いた伊藤は、香港に拠点を置くYAMAHAの代理店である「YES!YAMAHA」からマシンの貸与を戴き、運営協力に中国で活動を続けている「S&Sモーター」のご支援を戴き参戦が実現した。

そしてこれら全てのコーディネートを取り纏めて頂いたのが、中国やオーストラリアでのレース活動などアセアン地域で積極的にレース参戦コーディネートを行なっている「TeamJP」(母体・ジャパンプランニング)のご協力により可能となったものだ。

チャンスを戴いた伊藤は水曜日の夜にメカニックと共に現地入りし、翌木曜日に貸与されたマシンのセットアップを入念に行い走行に備えた。そしていよいよレースウイークがスタート。

金曜日午前中の走行は生憎の雨。
アジア選手権ではレインタイヤの使用が予選と決勝のみに限られている摩訶不思議なレギュレーションのため、ウエット路面をドライタイヤで走らなければならない。他の日本人ライダーたちが初めてのコースのため出走する中、伊藤は走行をキャンセル。午後の公式予選に標準を切り替え集中を高めていた。

昼になり雨が上がり日差しも出始めると路面は一気に乾き始める。ドライセットに変更して臨んだ公式予選。タイムアタックに出て行く選手たちが次々と転倒してゆく。コースのライン上はドライになっているが、ゼブラゾーン(縁石)には水が溜まり非常に滑りやすい状況になっていたのだ。

多くのライダーがこのゼブラに乗った瞬間に転倒を喫する中、慎重な走行で徐々にタイムを上げて行く伊藤。一時はポジションを4番手まで上げるものの後半はタイムが伸び悩み総合で10番手に沈んでしまう。自己ベストタイムは更新したものの、初日の設定タイム1分39秒台には程遠い41秒1の記録で終わる。

伊藤はマシンセットの変更に頭を悩ますが、チームは「まだマシンのパフォーマンスを出し切っていない。もっと自信を持って限界まで攻めて力を出し切るように!」と翌日に向けてのミーティングを終えた。

翌土曜日のタイムスケジュールは午前中にフリー走行を行ない、午後から2回目の公式予選が行なわれる。天気は晴、コースも完全にドライとなり全体のタイムアップが予想される中、伊藤は積極的にタイムアタックを繰り返していた。

誰よりも早くコースインして行く伊藤だが2周目に転倒者が出て一旦赤旗中断となる。再び再開された走行でも真っ先にコースインする伊藤。その積極性がタイムになって帰ってきた。2周目に自己ベスト大きく更新する1分40秒3を記録。更にペースを上げる伊藤は一気に38秒台までタイムを上げフリー走行で5番手のタイムを記録して走行を終えた。

そして迎えた公式予選2回目。伊藤は先ず1回目の予選で履いた中古のタイヤでコースイン。アジア選手権は予選決勝で使用できるタイヤが3セットと決められている。しかも決勝レースは2回ある為、予選で使用出来るのは実質1セットとなるのだ。

伊藤は中古タイヤでも39秒台を記録するがそれでも現状では総合10番手。このままでは決勝レースは4列目からのスタートとなってしまう。チームは伊藤と事前に打ち合わせていた作戦に出た。

2回行われる決勝に適用される予選結果は非常に重要である事から、2列目には入れない場合は2セット目のタイヤを投入する作戦だ。ピットからのサインに従いピットインする伊藤。前後のタイヤを交換して再びコースイン。予選時間は残り5分。伊藤が最後のアタックラップに入った。最終コーナーから勢い良く飛び出してきた伊藤は、たった一周のアタックながら自己ベストを更新、38秒693を記録して総合6番手に飛び込んできた。

走りに自信が戻ってきた伊藤はマシンセットも決まってきたのかそのままのセットで日曜日の決勝に臨む。

日曜日の朝は15分間のフリー走行がある。この時間で決勝を睨んだフルタンクのセッティング確認を行なうが、伊藤は重いタンクによる影響を感じさせないペースでラップを刻む。それどころか更に自己ベストを更新して帰ってきた。タイムは1分38秒5、全体の4番手タイムだ。

ヒート1


そして迎えた決勝。ヒート1は11時40分から15周のレースがスタートした。2列目6番グリッドから絶妙のスタートを見せた伊藤は3番手で1コーナーに入っていく。しかしこのとき後続のマシンが伊藤に突っ込んできて押し出される形でフロントタイヤを持っていかれて転倒。幸い怪我も無く、マシンのダメージも軽かった伊藤はマシンを起こして再びレースに復帰。最後尾から走行を続けなんと15位にまで浮上。貴重な1ポイントを獲得した。

ヒート2


悔しい思いを胸に、マシンを修復して臨んだヒート2。同じく15周のレースが15時40分にスタートした。2度目のスタートは反応は良かったもののウイリーしてしまい後退。1周目は12番手で通過。同じ日本人ライダーに囲まれる展開となったがトップと変わらないスピードを身につけた伊藤は3周目に早くも38秒台に突入。

周回ごとにポジションを回復して行き9周目には全体の最速ラップとなる38秒1を記録して8番手に浮上。追撃の手を緩めることなく伊藤は前のライダーを追い続ける。そのペースは完全にトップ争いのペースを上回っていた。12周目には昨年のチャンピオンデチャ選手を抜いて7番手に浮上。6番手との差は3秒以上。それでも38秒台で走行を続ける伊藤は最終ラップについに6番手の背後に追い着いた。

そして最終ラップの最終コーナー。イン側にに飛び込んだ伊藤が6番手に浮上して立ち上がって来た。そのまま見事6番手でチェッカー。

自己ベストを大きく更新し、ファステストラップこそ僅かに抜かれたものの全体の2番手のベストタイムで上位陣以上のスピードを見せた伊藤は、初の海外レースで11ポイントを獲得。スポット参戦ながらランキングを14位に押し上げた。

伊藤コメント
「ヒート1はかなり悔しかったです、でもそのあと走った時にヒート2は絶対勝てると感じました。スタートで出遅れてしまい結果は6位でしたが最後まで力を出し切る事が出来て本当に楽しいレースが出来ました。
今回のチャンスを頂いたスポンサーの皆様に心から感謝いたします。この成長を次戦鈴鹿に繋げたいと思います。そして出来れば来年はフル参戦できるよう頑張って行きたいと思います。応援有難うございました!!」

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明



2011.10.11.
2011′ 10/9 全日本選手権 第6戦 岡山国際 総括

レース結果報告


藤田拓哉・ Q2突破で予選11位・決勝は13位フィニッシュ!
伊藤勇樹・予選25位、決勝18位フィニッシュ!

最終戦前の大事なラウンドとなった岡山大会のレース結果をご報告致します。 尚、今大会に出場予定だった阿久津選手ですが、テスト中の怪我により残念ながら今大会を欠場する事となりました。

最終戦鈴鹿に向け準備を進めておりますので宜しくお願いいたします。


イベント名 全日本選手権 第6戦
日時・場所 2011年10月9日・岡山国際サーキット(岡山県)


レース結果


JSB1000 #19  藤田 拓哉  予選 11位  決勝 7位
ST600  #71  伊藤 勇樹  予選 25位  決勝 18位


JSB1000


事前テストでマシンセットを詰める事ができた藤田はレースウイークに入って本来のスピードを少しずつ取り戻し始めた。特にフロント周りのセットアップが決まり始め本来のコーナーリングを取り戻そうと公式練習で周回を重ねて行った。タイムは1分34秒078で14番手にとどまり、33秒台には入らなかったが10位から14位の藤田までのタイム差は0.1秒と僅差で予選では激しいポジション争いが予想される初日となった。

翌土曜日。公式予選はノックアウト方式となりQ1で上位24台に絞り込まれる。このQ1の通過は問題無しとしてセットアップを詰めながらも周回数を抑えてQ2にタイヤを温存する作戦を立てる。ワンアタックでタイムを更新して1分33秒7を記録した藤田は13番手でQ2に進出。5分間のインターバルの後すぐにQ2が始まる。

1セット目のタイヤで再びタイムアタックに入る藤田だが思うようにタイムが伸びない。上位は皆32秒台を記録してゆく。セッティングの微調整をした後チームは2セット目のタイヤ投入を決断。Q2は予選時間が15分しかないためタイムアタックできる時間は残り5分。タイヤを暖める1周目を除くとアタックできるのは2周がギリギリ。

ペースを上げる藤田は2周目に33秒717とベストタイムを記録。チェッカーギリギリでホームストレートを通過して最後のアタックに入る藤田。1周を3ブロックに分けたセクター1、セクター2と自己ベストを更新して戻ってきた藤田はベストタイムを大幅に更新。一気に32秒台を記録して11番手に浮上。Q2突破を決めた。

晴天に恵まれた決勝レース、午後3時10分に20周のレースがスタートした。11番手からスタートよく飛び出した藤田だがオープニングラップではポジションをひとつ落として12番手で通過。序盤は10番手争いの集団の後方につけるが徐々に遅れだし単独で13番手で周回を重ねる。

レース中盤に入りベストタイムを更新しながら前方の集団に再び近づき出した藤田は9周目にレース中のベストタイムを出して集団に一気に追いつく。そして14周目に12番手にポジションアップするが、その間に前方の集団とは距離が開いてしまいなかなかその差が縮まらない。レースは終盤を向かえタイヤ磨耗が限界を超え始めた藤田のペースが一気にダウン。最後は一度抜いた相手に再び抜き返されてしまい結果13番手でチェッカーを潜った。

ST600


アジア選手権参戦が決まり気合の入る伊藤。事前テストからセッティングを変更して臨んだ公式練習では思うように仕上がらないマシンに苦しむ展開となってしまう。初日の結果は総合25番手に留まる。翌日の予選に向けセッティングの変更を試みた伊藤だがこのセットが更に裏目に出てしまい公式予選1回目は30番手にまで下がってしまう。

今回の公式予選は出走台数が多い為にABニクラスに分かれて2回の予選が行われる。通常ならば予選は1回だったため伊藤は今回の予選が2回あるため挽回のチャンスがある。大きく振ったセッティングを見直し、調子が良かった状態のセッティングをベースにセットアップを進めて臨んだ公式予選2回目。

真っ先にコースに飛び出した伊藤は自己ベストを更新して1分35秒0までタイムを伸ばすがあと一歩で34秒に届かない。上位陣は33秒や34秒台のマシンが沢山いる。そしてトップはコースレコードを記録して32秒台に入れてきた。ピットインしてサスセットの微調整を試みる伊藤だがやはり35秒の壁を越えられない。結果総合24番手で公式予選を終えた。順位的には納得いかない結果だが、セットアップが良い方向に決まりだした為回答の表情は明るい。

「あとは明日の朝のフリー走行でもう少しセッティングを詰めて、決勝は行きますよー」 と元気を取り戻していた。

朝のフリー走行は急速に冷え込んだ秋の空気に路面温度も一気に低下。無理せず走行を終えた伊藤は昼の決勝に意識を集中していた。そして迎えた決勝。スタートを決めた伊藤はオープニングラップで3台を抜き去り21番手でコントロールラインを通過。

集団の中で抜きつ抜かれつの展開で序盤が過ぎ中盤に入ると伊藤は前方のマシンを激しく追いたて9周目に19番手にポジションアップ。更に11週目には18番手に浮上してレース終盤を迎える。伊藤はこのまま後続を押さえきり18番手でフィニッシュ。

DOG FIGHT RACING の次回のレースは、10月16日、中国・珠海サーキットで開催されるアジア選手権に伊藤勇樹がスポット参戦いたします。

引き続き応援いただけますよう、宜しくお願いいたします。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明



2011.10.10.
全日本選手権 第6戦 岡山国際  ライダーコメント・藤田拓哉

☆ライダーコメント☆


ライダー:#19 藤田拓哉
クラス:JSB1000

2011′ 10/9 全日本選手権 第6戦 岡山国際

サポートしてくださるスポンサー様、チームスタッフ、ファンの皆様ありがとうございます。 今回もサポートがあって参戦できました。

金曜日!
いろいろとセッティングを試し、自分に合ったベストセッティングを探しました。

土曜日!
金曜日にテストしたセッティングの中でさらに良いセッティングにするために
予選でもセッティングを試しました。

Q1を終えてQ2に突入しました。
Q2ではなかなかタイムをあげられず、もがいていました。
順位も16番手くらいにいました。
しかし最後の一周に11番手までタイムを上げて、Q3に残りました。
Q3でもなかなかタイムが上がらず、予選を11番手で終えました。

日曜日!決勝
普通にスタートをしたものの速くインについてしまってカーブがきつくなり、二つくらい順位を落としてしまいました。そこから何周かして前とも後ろとも間隔が開いてきて単独走行していました。 しかし前のバイクとどんどん近くなり抜くことができました。しかしまた抜き返されたりして、結局チェッカーをうけた時には13位でした。

少しずつ悪い所を改善しているので、もっと良い結果を数字で表すように考え行動し進化したいと思います。 最終戦は、2ヒートあるからガンガン攻めて攻めて攻めまくります。


2011.9.13.
2011′ 9/11 全日本選手権 第5戦 オートポリス 総括

レース結果報告


アジア選手権・SS600 伊藤勇樹4位&8位、連続ポイント獲得!
JSB1000の藤田は決勝転倒も14位でフィニッシュ!

全日本選手権の第5戦が大分県・オートポリスサーキットで開催されました。
今回はアジア選手権が併催され、スポット参戦した伊藤勇樹の結果も含めご報告致します

イベント名 全日本選手権 第5戦
日時・場所 2011年9月11日・オートポリスサーキット


全日本選手権


JSB1000 #19  藤田 拓哉  予選 11位  決勝 7位

アジア選手権


SS600  #71  伊藤 勇樹  予選 2位  決勝:ヒート1 4位/ヒート2 8位

JSB1000・藤田拓哉


事前テストでは昨年のベストタイム(55秒.9)を更新して手ごたえを掴みかけた藤田だが、レースウイークに入り菅生から抱えているフロントのセッティングに悩まされる週末となってしまった。今回はアジア選手権が併催のため金曜日のフリー走行も1本しかなく、事前テストのタイムを越えられないままノックアウト予選に臨むこととなった。

昨年のようなコーナーリングスピードをキープできない藤田のマシンは旋回中にトラクションが抜けてしまい加速に結びつけることが出来ない状態だったため、サスペンションセッティングを大きく変更して臨んだ公式予選1回目を56秒097のタイムで13位通過。

リヤタイヤを新品に交換し、セッティングを微調整して2回目の予選に向け再びコースイン。ペースを上げた藤田は55秒7までタイムを上げ一時はポジションを9番手まで上げたが、後半クリアラップが取れないままタイム更新が出来ず、予選終盤に次々とタイムを更新する他車に順位を抜き返されてしまう。終わってみれば16番手まで順位を落としてしまい、3回目の予選には出走できなかった。

決勝レースに向けた朝のフリー走行では12番手と順位を上げて臨んだ決勝。オープニングラップで1つポジションを上げて15番手で通過。2周目には2台をパスし13番手に浮上。3周目に加賀山選手の転倒もあり12番手に浮上。ここから2台による激しい12番手争いが始まる。BMWの戸田選手とのバトルは周回毎に順位が入れ替わる激しい展開。

スリップで前に出る戸田選手を再び1コーナー進入で抜き返す藤田。レース終盤は後方から追い上げてきた片平選手がこのバトルに加わり三つ巴の争いが展開。そして迎えた最終ラップ。第一コーナーでややオーバランして片平選手に抜かれた藤田は第二ヘアピンで一気に抜きにかかるが止まりきれずコースアウト、転倒を喫してしまう。すぐにマシンを起こしコースに復帰した藤田。何とか14位でフィニッシュし2ポイントを獲得した。

藤田コメント
「絶対負けたくなかったので意地で突っ込んだんですが止まりきれなくて・・・・。超悔しいです。 次回岡山ではトップ10には入れるよう事前テストから気合入れていきます」

アジア選手権 SS600・伊藤勇樹


アジア選手権時スポット参戦した伊藤。5月に全日本選手権で走ったコースだけに地元有利なコースで表彰台を目指しての参戦でした。アジア選手権は全日本とは違う変則なスケジュールとなり、木曜日に公式練習、金曜日が予選、土曜日、日曜日と2回の決勝レースが行なわれます。この日程の中で予選・決勝で使えるタイヤは全部で3セット。したがって2回ある公式予選を1セットのタイヤで賄わなければいけません。

初日の公式練習で 番手とまずまずのポジションを獲得した伊藤は、翌日、最も重要な公式予選1回目で自己ベストを更新する56秒8を記録して予選2番手を獲得。続く2回目の予選は前車が中古タイヤ、タイムを更新する選手も少なく、伊藤は藤原選手に次ぐフロントロー2番手から決勝レースを迎えることとなった。

レース1
スタートを無難に決めた伊藤はオープニングラップを3番手で通過。しかしマシンセットを外してしまいペースが上げられないため、後方から追い上げてきたデチャ選手やアズラン選手に交わされ徐々にポジションを落としてしまいます。我慢の走行を続ける伊藤だが、路面温度の上昇により大崎選手や津田選手が転倒により戦列を去って行き、レース終盤にはトップを走っていた藤原選手がマシントラブル(チェンジペダル破損)によりペースダウン。これを抜き去り4位に浮上した伊藤はそのまま走りきり日本人最上位の4位入賞を飾った。

レース2
翌日の日曜日。朝のフリー走行でセッティングの確認を行なった伊藤は表彰台を目指してレース2の決勝に臨んだ。スタートでウイリーしてしまった伊藤は集団に飲み込まれオープニングラップを6位で通過。それでもトップ集団の後方につけ団子状態のままレース序盤が展開される。

レース中盤に入り、チャランポ選手とアズラン選手に抜かれた伊藤はポジソンを8番手に落としてしまう。それでもトップ集団をが見える位置で懸命に喰らいつく伊藤だが追い抜くまでには至らない。レース2はこのまま荒れることなく終盤を迎え伊藤はそのままの順位でチェッカーを潜った。

伊藤コメント
「レース1はラッキーな部分のありましたが、逆に表彰台に立てなくて悔しい気持ちが強かったです。でもレース2は力を出し切った結果なのでとても充実した気分です。アジアのレベルは確実に上がっているし、とても勉強になったウイークでした。今回スポット参戦のチャンスを頂き、ご支援ご協力を戴いた皆様に感謝いたします。そしてこの経験を残り2戦に繋げたいと思います。」

代表コメント


「藤田は今抱えている問題をクリアするためにとても苦しんでいますが、それでも自己ベストを更新できたことは収穫です。後半戦も厳しい戦いが予想されますが、全てを糧にして成長してくれることを願っています。 伊藤は今回本当にいい経験をしたようです。フロントロー獲得によるプレッシャーや興奮で夜も眠れなかったようです。それでも2レースともしっかりと完走し、上位ライダーの走りから多くを学んだようです。後半戦、そして来季の飛躍に期待します。」

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明



2011.9.12.
全日本選手権 第5戦 オートポリス ライダーコメント・藤田拓哉

☆ライダーコメント☆


ライダー:#19 藤田拓哉
クラス:JSB1000

2011′ 9/11 全日本選手権 第5戦 オートポリス

サポートして下さるスポンサー様、チームスタッフ、ファンの皆様ありがとうございます。
今回もサポートして頂き参戦できました。

金曜日
一本しかない最後の練習を大切に走りました。
不安感を少しでも無くす為に色々とセッティングを変えて走りました。
でもなかなか上手くいかずタイムとして繋げることができませんでした。

土曜日
Q1をセッティングを色々と試してQ2に進めて行きました。
Q2では、なかなかタイムを上げられず16位で予選を終えてしまいました。

日曜日
スタートを失敗して後続車にどんどん前にいかれたのですが、焦らず一つずつ順位を上げていき、12位まで上げました。そこから最後のラップまでバトルをして、最後のラップに13位にいて、12位に上がろうと最後にしかけました。絶対に負けたくないと思った感情が少し強くて無理をしてしまい、コーナーを曲がりきれず、オーバーラーンをしてしまい転倒してしまいました。

すぐにリスタートをして14位でチェッカーをうけてレースを終えました。

次の岡山では、もっとメカニックと細かい話しを詰めて、もっともっとレースまでに出来ることをやり、全力で悩み、もがいてもがいて答えがでるまで全力でやります!
また岡山のレースもよろしくお願いします。


2011.8.29.
2011′ 8/28 全日本選手権 第4戦 SUGO 総括

レース結果報告


藤田拓哉・11位、連続ポイント獲得!
伊藤勇樹は決勝転倒、阿久津晃輝も予選中に転倒で決勝進出ならず!

全日本選手権の第4戦が震災から復興した宮城県・菅生サーキットで開催されました。
そのレース結果をご報告致します

イベント名 全日本選手権 第4戦
日時・場所 2011年8月28日・菅生サーキット

レース結果


JSB1000 #19 藤田 拓哉  予選 9位  決勝 11位
ST600  #71 伊藤 勇樹  予選 24位  決勝 転倒リタイヤ
ST600  #26 阿久津晃輝  予選 不通過
ST600  #57 飯島 高広  予選 不通過


JSB1000・藤田拓哉


昨年非常に好調なタイムを記録した菅生で上位入賞を目指した藤田だが、事前テストから思うようにタイムが詰まってこない。少し調子が上がってくると転倒を喫してしまい再び調子を落としてしまう。この悪い流れを変えられないままレースウイークに臨んだ藤田。金曜日の走行は朝から濃い霧に包まれ午前の走行はでキャンセルされてしまう

午後になっても霧が晴れず他のクラスの走行が次々とキャンセルなか、夕方に予定されたJSBの走行は奇跡的に霧が晴れ走行が行われた。それでも路面はウエット状態のため走行をキャンセルするライダーもいたが、藤田は今後のことも考えて走行を実施。徐々にペースを上げてゆきセッティングを確認しながら周回を重ねる藤田。セッション終盤にタイムを上げ上位人に続く番手で走行を終え、ウエットコンディションながらも悪い流れから脱出できそうな感触をつかんだ藤田は明るい顔を見せ始めた。

土曜日のタイムスケジュールは前日の影響で大幅な変更となり朝にフリー走行が設定され、その代わりにノックアウト予選が通常の計時予選に変更された。しかしこの日も天候は不安定。朝の走行は霧雨が降ったり止んだり。路面もウエットでもドライでもない中途半端な状況。このためチームは朝の走行をキャンセルし午後の予選に集中することとした。

午後になり天候が回復。JSBの予選はドライコンディションでのタイムアタックとなった。2セットのタイヤでタイムアタックを計画した藤田は序盤にウイークベストの31秒を記録。予選終盤にタイヤを交換して更なるタイムアップを目指すがペースが上がらない。31秒後半でタイムが伸び悩みこのまま予選を終えてしまうかと思われた所に最後のタイムアタックを始めた上位陣の集団が近づいてきた。この流れに入った藤田は上手く流れを掴み一気にタイムアップ。31秒15のベストを更新して9番手を獲得して予選を終えた。

さらに調子を上げ始めた藤田だが昨年のベストからは0.5秒遅れている。昨年とデータを比較しても前半セクションの第3コーナーからのスピードが足りない。また得意だった後半セクションでもSPコーナーからシケインまでの高速コーナーでペースが遅い。

原因は菅生からテストしているフロントタイヤのセッティングを上手く出し切れていないのだ。事前テストで転倒を喫してしまいこのセットの詰めが出し切れていないネガが出てしまったのだ。それでも流れは少しづつ良い流れに変わってきており、出口選手に続く9番グリッドは目の前には中須賀選手が見える位置。やる気満々の藤田と翌日に向けたミーティングを実施し予選日を終えた。

日曜日は朝から快晴となり気温、路面温度共に上昇。朝のフリー走行でフルタンク状態の確認走行を終えた藤田は8番手とまずまずの感触。決勝に向け最後の確認を進める。

定刻15時35分に25周の決勝レースがスタートした。昨年スタートでクラッチを壊してしまった藤田はスタートで慎重になりすぎ出遅れてしまう。オープニングラップに須貝選手にも抜けれて10番手で通過。ここから須貝選手に付いていきたいところだが藤田のペースが上がらない。逆に後方から清水選手、須磨選手の二人が追いついてきた。6周目に清水に、7周目に須磨に交わされ12番手に後退。

10番手争いを続ける藤田は16周目に2台を一気に抜きさり10番手に浮上。中須賀選手の転倒もあり9番手にポジションを上げるが前に出てからペースが上がらない。翌周に再び10番手に下がってしまう。レース終盤に入った23週目にはトップ集団にラップ遅れにされてしまい、この処理で進路を譲った藤田は皇族にも抜かれてしまい番手にポジションを下げてしまう。

最終ラップに一気に2台を抜きにかかるが無謀なアタックは失敗に終わり11番手のままチェッカーを潜った。

藤田コメント
「マシンのセット詰めることが出来なくて思うようにペースが上げられなくで悔しいレースになってしまい ました。次回オートポリスはしっかりとマシンセットを決めてシングルフィニッシュを目指します」

ST600・伊藤勇樹


前回茂木大会の好調をそのまま持ち込んだ伊藤は事前テストで32秒8の自己ベストを更新。
気持ちよくレースウイークを迎えたが金曜日の走行キャンセルから歯車が狂い始めてしまう。

土曜日に行われたフリー走行で予選に向けたセッティングを確認していた伊藤は第1コーナーで転倒を喫してしまう。怪我はなく、マシンのダメージも少なかったため修復の後午後の公式予選に臨んだ伊藤。コースは予選開始直前に再び霧雨が降り始めドライコンディションだった路面が少しづつ湿り始める難しい状況。転倒によるダメージがないか確認しながら徐々にペースを上げてゆく伊藤は路面が完全に乾き始めたところでピットイン。

セッティングの変更をして再びコースイン。しかし伊藤がコースに復帰すると再びバックストレート周辺で雨が降り始める状況。最も路面状況が良い時にタイムアタックできなかった伊藤はタイムを詰めることができないまま予選を終え24番グリッドに沈んでしまう。

悪い流れを断ち切るべく臨んだ決勝レース。
ドライコンディションの中スタートが切られ、オープニングラップで3台を抜いて21番手に浮上した伊藤は序盤から激しくプッシュ。周回毎に順位を上げ8周目には17番手までポジションアップ。ポイント獲得まであと一歩のところに迫ってきた。目の前には篠崎選手が現れペースの上がらない篠崎選手を抜きに行った11周目のヘアピンコーナーで篠崎選手と接触してしまい2台が一緒に転倒。そのままリタイヤとなってしまった。

伊藤コメント
「事前テストまで非常に調子が良かったのでこの結果はとても悔しいです。最後の転倒はライン的にはいけると思ったのですが接触してしまい篠崎選手には済まないことをしました。 次回アジア選手権にワイルドカード参戦出来ることになったのでこの悔しさをぶつけてきます。」

ST600・阿久津晃輝


伊藤と共に事前テストで33秒前半を記録し調子を上げてきた阿久津。コンディションの悪い金曜の走行を早々に諦め、予選に向け集中していた。スケジュールが変わった土曜日のフリー走行も確認程度の軽い走行で終え午後の予選に臨んだ。

その予選開始直前に再び霧雨が降り始めドライコンディションだった路面が少しづつ湿り始める難しい状況。阿久津とメカニックはこのままコンディションが悪くなるかもしれないと読み、早めのアタックを計画。コースオープンと共にまっ先にコースインした阿久津はトップで2周目に入ってゆく。

第1コーナーで濡れ始めた路面によりリヤタイヤを滑らせながらマシンをコントロールしてコーナーに入っていった阿久津だったが、次の第3コーナーでスリップダウン。転倒を喫してしまいそのまま予選を終えることとなってしまった。

阿久津コメント
「事前テストで調子が上がってきていたのでとても悔しいです。予選は路面状況が悪くなりそうだったので早めに仕掛けていったんですがちょっと焦りすぎてしまったかもしれません。せめて1周はタイムが残っていれば良かったんですが・・・何も残すことが出来ないレースになってしまい申し訳ない気持ちです」

ST600・飯島高広


茂木で全日本の壁の高さを思い知らされる結果となった飯島は菅生でのリベンジを狙いましたが今回も力及ばづ予選落ちとなってしまいました。

飯島コメント
「今回も全日本の壁を越えることができませんでした。この悔しさを胸に、明日から来年の全日本に向けて練習します。来年こそ予選突破して見せます。」

代表コメント


今回はレースウイークの難しさを痛感した大会でした。好調だった伊藤や阿久津が流れを掴めないままレースを終え、藤田は悪い流れを少しづつ回復していったものの最後まで詰め切ることができない歯がゆい大会となってしまいました。これから更に上位を目指すためにはこういった詰めの部分がとても大切であり、チーム&ライダーが学ばなければいけない点だと思います。そういった意味では今大会も得ることの多い大会だったと思います。

次回オートポリスは伊藤がアジア選手権にワイルドカード参戦します。
海外勢との力の差を確認する良い機会です。

また藤田も昨年はケガで思いきり攻めきれなかったコースですから力を出し切ってもらいたいと思います。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明



2011.8.28.
全日本選手権 第4戦 SUGO  ライダーコメント・藤田拓哉

☆ライダーコメント☆


ライダー:#19 藤田拓哉
クラス:JSB1000

2011′ 8/28 全日本選手権 第4戦 SUGO

サポートして下さるスポンサー様、チームスタッフ、ファンの皆様ありがとうございます。

今回も皆様のサポートがありレースに参戦することが出来ました。

金曜日から天候が悪くドライでは、走れずウェットで走ることになりました。 ウェットでは、少しずつタイムを上げて行き少し雨になれることができました。 土曜日になり、昨日と同じくあまり天候が良くなく、霧があったりしました。しかし自分の予選前には、太陽まで出てきて、完全にドライで走ることになりました。

予選をスタートしてタイムアタックをしました。しかしなかなか自己ベストまで程遠いタイムしか出せませんでした。 しかしトップのライダーに抜かれて追いかけていったらタイムが上がり、予選9位になりました。

日曜日になり、決勝が始まりました。
スタートで遅れてしまい、出遅れてしまいました。レースは進んでいき、抜いたり抜かれたり争ってしまいました。 最後には、二人に抜かれてしまい、結果11位で終わりました。

今回の菅生では、自分の準備不足と仕事量のなさがありました。

次のレースの前には、準備をしっかりとして、準備不足にならないように全力を尽くします。


2011.7.5.
2011′ 7/3 全日本選手権 第3戦 もてぎ 総括

レース結果報告



藤田拓哉・11位(第2ヒート)。5ポイント獲得!
伊藤勇樹シングルフィニッシュの8位。
阿久津晃輝23位で全車完走!

全日本選手権の全クラスが揃った本格開催となった第3戦が
栃木県のツインリンク茂木で開催されました。
そのレース結果をご報告致します

イベント名 全日本選手権 第3戦
日時・場所 2011年7月3日・ツインリンク茂木


レース結果


JSB1000 #19 藤田 拓哉  予選 11位 決勝 ヒート1 リタイヤ/ヒート2 11位
ST600  #71 伊藤 勇樹  予選 18位 決勝 9位
ST600  #26 阿久津晃輝  予選 31位 決勝 25位
ST600  #57 飯島 高広  予選 不通過


JSB1000・藤田拓哉


ライディング改良中の藤田は茂木をとても大事なサーキットと考えている。ロードレースデビューした2008年にGP125で初優勝。国際A級に昇格しGP250にステップアップした2009年はトップ走行中に転倒。そして昨年はJSB1000のビッグマシンに四苦八苦しながら光明を見出したサーキットである。

「いつも茂木がターニングポイントになってきた」と語る藤田は開幕戦(鈴鹿)の悔しさをバネにこのインターバルをトレーニングに勤しんで来た。震災の影響により地元コースながら走り込みが出来なかったが条件は全員一緒。大会1週間前の事前テストでは走りこみに重点を置き、新しくなったコースの情報を収集し、それに合わせたマシンセット、タイヤチョイスと本番を想定しながら最後まで走りこんでいた。

レースウイークに入り金曜日の公式練習。前回の鈴鹿に比べ上位陣のライダーの参戦が少ない。「トップ10は最低限の目標」とコースに出てゆく藤田。気温は30度を越え、路面温度も50度以上となる真夏のコンディションの中、着実にタイムを詰めてゆく。

今回菅生テストで行なったサスセットの変更をさらに進める形で藤田のライディングの変化にマシンセットを合わせて行く作業が続く。午前のセッションを終え9位、午後のセッションでも9位と目標をクリア。少しづつタイムを刻み走りの問題点を解決してゆく。走行データを解析する心強い仲間(ケンヤン・田中氏)も加わり藤田を指導してくれる。それを確実に実践しタイムを詰めてくる藤田。16歳とは思えない仕事振りである。

土曜日の公式予選は今回もノックアウト方式の予選。Q3通過は当たり前でなければいけない。チームはQ1、Q2でハードタイヤでマシンセットをさらに詰め、最後のQ3でソフトタイヤでタイムアタックをする作戦を立てた。

Q1ー11位、Q2ー12位。ハードタイヤのアタックでギリギリでQ3進出を果たした。そしてソフトタイヤに履き替えて臨んだQ3、ベストを更新して11番手。順位こそ上げることが出来なかったが確かな手ごたえを掴み予選を終えた。

朝のフリー走行ではソフトタイヤの持ちを確認してみるがかなり厳しい状態だ。それでも決勝第1ヒートは走りの次元を高めるためにあえてソフトタイヤを選択して決勝に臨んだ。そして決勝スタート。オープニングラップに8番手にポジションを上げた藤田は前方の今野を追う。2周目に自己ベストの54秒57を記録。

3周目に途中ミスをしながらもさらに自己ベストを更新する54秒51を記録。前にいる今野に少しずつ追いつきだした4周目。セクター1、セクター2とコースの半分を通過した時点で自己ベストを0.5秒以上速いペースで今野を追いかける藤田。このまま行けば目標の53秒台が確実と思われたその瞬間、モニター画面の中でV字コーナーでコースアウトするマシンの姿が・・・。その直後、藤田のマシンの転倒を告げるアナウンスが流れた。

マシンを起こしピットに戻ってきた藤田だがチームは第1ヒートのリタイヤを決め、第2ヒートに向けマシンの復旧が始まった。マシンは無事復旧し第2ヒートに臨む準備は整った。藤田とメカニックはタイヤ選択で再びソフトで行くか、それともハードタイヤで18周のトータルタイムをあげる作戦を選択するかをミーティング。結果ハードタイヤのタイムアタックデータと、レースでの持続性確認のためハードタイヤを選択。

決勝に臨んだ。

再び好スタートを切った藤田はオープニングラップを8番手で通過。しかしここからペースが上がらない。徳留、須貝といったベテランに次々と交わされ、それについてゆくことが出来ない。タイムも55秒台が精一杯で単独の走行が続く。それでもトップ10ポジションで力走する藤田だったが残り4周となった所で56秒台にタイムが急速に落ちてきた。

タイヤが限界のようでコーナー新入から立ち上りまで大きくスライドするリヤタイヤをコントロールしながらの走行だ。このタイムの落ち込みで後方から追い上げてきた清水が一気に藤田に接近。 残り2週となった所で清水に抜かれてしまい惜しくも11番手でチェッカーを潜った。

藤田コメント
「最後はタイヤが持たなくて追いつかれちゃいました。でもいい感じがつかめてきたので次は頑張ります」

ST600・伊藤勇樹


前回オートポリス大会で成長を見せた伊藤が茂木に入りその好調を維持。公式練習、予選とセッションごとに自己ベストを更新し、トップテンにはまだ届かないものの確実な成長を見せていた。

これまではマシンセッティングなども「あと1回転イニシャルかけて」とか、「車高を1mm上げて」といったセットの詰め方だったが、最近は「あと4分の1回転イニシャルかけて」、「伸側ダンパーを片方だけ1つ強くして」など、セッティングの詰め方がとても繊細になってきた。

ST600マシンはどちらかといえば鈍感な車体なのでマシンの挙動や、タイヤのグリップコントロールが非常に難しい。このマシン性能を100パーセント引き出すためにはライダーに非常に繊細なセンサーが要求される。伊藤の成長はこの辺にも見て取れるところがあり今季の成長の証だと思う。

朝のフリー走行で更なるジャンプアップを予感させた伊藤。決勝レースではスタート良く飛び出しオープニングラップを11番手で戻ってきた。レース序盤、周回ごとにポジションを上げる伊藤は6周目に8番手にポジションアップ。レース中盤は7番手争いの第2集団にもまれながら周囲をうかがう伊藤。

終盤に入り集団のトップに浮上した伊藤は少しづつ集団を引き離しにかかる。「このまま7位でチェッカーを」と願うチームクルー。しかし後方には一度抜いた浦本選手がペースをあげて迫ってくる。そして13周目、再び浦本選手に抜き返された伊藤は、これを最後まで攻め立てるが後一歩届かずチェッカーをくぐり、8番手シングルフィニッシュを獲得。

ST600・阿久津晃輝


今季ダンロップタイヤに変更し、本来の走りを取り戻すために試行錯誤を繰り返している阿久津。思うようにならない歯がゆさを抱えながらも冷静に一つ一つメカニックと確認しながらセットアップを進める姿はさすがに昨年トップ10に迫る走りを見せた実力者。自分の走りを取り戻せば結果は付いてくることをしっかりと自覚しているようだ。

それでも公式練習では自己ベストに2秒以上も遅いタイムでもがいていた。そんな阿久津だが公式予選で少し光明が見えてきた。最後のアタックではセットを外してしまうが方向性は見え始めた。

決勝レース。
オートポリスに続き素晴らしいスタートダッシュを決めた阿久津は一気に7台を抜き去り24番手でコントロールラインを通過。このスタートのうまさと1周目の速さは阿久津の最大の武器だ。

レース序盤、予選タイムを更新して後続を押さえ込む阿久津。タイムで上回る後続を押さえきり、23番手でチェッカーを潜った。本番になればさらに力を出す阿久津の集中力。走り込みが出来なかった茂木だが巧妙が見え始めた。次戦の菅生は得意なコースの一つである。本格的な復活に向けここからが正念場だ。

ST600・飯島高広


国際A級に昇格して全日本選手権初参戦の飯島はその力を見せることが出来ないまま、全日本の壁の高さを思い知らされる結果となった。周囲の流れに乗ることも出来ないまま自己ベストにも届かない走りに本人が一番悔しい思いだったろう。

新しくなった路面に今までのセッティングが合わず、歯車が狂ったままあっという間にレースウイークを終えることとなってしまった。事前テストが出来ない環境や、変わってしまった路面など、様々な環境の変動があってもそれは皆同じ条件。そしてそのような中でベストを引き出すことが出来なければ全日本では走れない。

飯島にとってはとてもよい経験になったと思うし、「菅生でリベンジです・・・」と本人も決して下向きになっていない。次の菅生はこの4人のメンバー全員で笑顔で決勝レースを終えられることを願う。

ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明