レース結果報告
藤田拓哉・最後尾から追い上げて11位フィニッシュも
ノーチェッカーにより27位完走となる。
伊藤勇樹・負傷を押しての出走も無念の予選落ち!
2010年全日本選手権第5戦が9月26日・岡山国際サーキットで開催されましたレース結果をご報告致します
イベント名 全日本選手権 第5戦
日時・場所 2010年9月26日・岡山国際サーキット
観客動員数 7,000人
レース結果
JSB1000 #88 | 藤田 拓哉 予選 29位 決勝 -位 | ST600 #76 | 伊藤 勇樹 予選 45位 不通過 | ST600 #70 | 稲垣 尚樹 欠場 |
JSB1000・藤田拓哉
昨年GP250で初コースながら4位入賞を見せた岡山国際。本人は好きなコースと語っており、その言葉のとおりJSB1000に乗り換えた今期も事前テストから確実なレベルアップを見せ、マシンにも慣れてきて、徐々に体も大きくなってきた藤田は好調を維持したままレースウイークを迎えた。
金曜日の公式練習。前日の大雨によりコースはスリッピーで各クラス共に1秒以上遅い低調なペースで様子見といった感じ。そのような中、藤田も自己ベストより0.5秒ほど遅い33秒424のタイムで総合10番手で午前中の走行を終える。
マシンに大きな問題は無いが、菅生から比較してもグリップの低い岡山のコースの特徴に加え、先週の事前テストよりも一気に気温が下がり、路面温度も10度以上低いコンディションとなり、タイヤグリップが上がってこない。
加えて今回から藤田の深いバンク角によりクランクケースを摺ってしまう対処としてYECキットのジェネレーターセットを投入したところ、エンジンのピックアップ特性やエンジンブレーキの効きが変化してしまい、タイミングが取り辛くなってしまったのだ。燃料調整やエンジンブレーキの補正を行い2本目に備える。
午後からの2本目の走行でセットアップの変更を行ったマシンで藤田はタイムアタックに出ると、序盤に午前中のベストタイムを更新、ピットインしてタイヤ交換後に再びアタックに出ると一気にペースを上げ32秒台で周回を重ね、5周目に自己ベストを更新する32秒593を記録。公式練習日を総合8番手で終えた。セットアップ変更を行ったマシンは見違えるような動きを見せ、またトップスピードも267kmとキット導入の効果を見せてくれていた。
翌土曜日は台風の影響から天気予報が大きく変わり朝から時折小雨が落ちる難しい状況。JSB1000クラスの公式予選は13時から、その直前のピットウォークが行われている12時頃から本格的な雨が降り出し路面はウエットに。
JSB1000に乗り換えてからウエットコンディションは3月に鈴鹿で一度走ったきりで経験の浅い藤田は慎重にコースイン。徐々にペースアップして5周目にピットイン。サスセットを変更して再びコースインした藤田はペースを上げて行き2周目に入ったボトムヘアピン(バックストレート前)でハイサイドを喫して転倒。残念ながらコースに復帰する事が出来ないまま予選を終えQ1を最下位で終了。Q2に臨む事が出来ないまま予選を終えた。
公式予選結果では110%の基準タイムを越える事が出来ず、一時は予選落ちとなってしまった藤田だが、嘆願により翌日朝のフリー走行結果で決勝レース出場の再審議扱いとなった。
翌日朝のフリー走行。転倒により左足太ももを強打した藤田でしたが、マシンに乗れば元気な走りが復活。ドライコンディションの中1分33秒639を記録して11番手タイムと心配を払拭する走りを見せてくれた。
そして迎えた決勝。29番手最後尾からスタート良く飛び出した藤田は一気に8台を抜き去りオープニングラップを21番手で帰ってきた。その勢いは2周目以降も続きポジションを回復してゆき5周目には15番手に浮上。
前方には清水、寺本といったベテランが10番手争いを行なっており、この集団よりも1秒以上速いペースの藤田は6周目にはその最後尾に追い着く。ここから冷静に一台ずつパスしてゆく藤田は9周目に清水をパス。次の周に寺本をパスしてゆく。そして12周目に地元のベテラン光元を抜き去り集団のトップに立ち10番手までポジションを押し上げてきた。
レース終盤に向け後続を抑えながら10番手をキープする藤田だったが、転倒から再スタートした亀谷が猛烈な勢いで追い上げてきて17周目にパスされてしまう。しかし後続はきっちりと抑えたままラストラップに向かうホームストレートに入ってきた。この時、トップの伊藤が藤田の横に並びかけてきた。
伊藤と共にチェッカーフラッグを受けたものの、コントロールライン上では前にいたと確信していた藤田だが、コース上で振られるオフィシャルのフラッグや、後続のペースダウンから、「もしかしたらこのまま走るとダブルチェッカーで失格になってしまうかもしれない」といった不安に襲われた藤田はオフィシャルの促すままピットロードに入ってしまった。
ピットロード入り口でオフィシャルに止められた藤田はその場で暫く待機していたが、オフィシャルのOKが出たとの事でメカニックと共にピットに帰ってきた。その瞬間チームは完走11位が確定したものと思ったが、正式結果ではやはりノーチェッカーとの裁定により27位にポジションを下げてしまう不運に見舞われレースを終えた。
ST600・伊藤勇樹
茂木で行なわれた事前テストで転倒を喫し右手を骨折してしまった伊藤。岡山大会の事前テストでは確認のため数ラップを走っただけで、レースウイークぎりぎりまで回復の時間をとりウイークを迎えた。
公式練習では徐々にペースを上げて行くものの周囲のペースにはやや離された状態で総合でも40番手付近と予選ボーダーラインのポジションである。静養により手の痛みは改善されてきていたが、走り込みが出来なかった分、マシンセットアップが煮詰め切れていない状態のためコーナー各所でペースが上がらない。
今回のST600クラスは参加台数の関係で公式予選は2組となるため、2回の予選が行なわれる。伊藤は午前の 1回目の予選で小雨が時折落ちる難しいドライコンディションの中でセットアップを詰めてゆくが、思うようにタイムが伸びない。それでも1分37秒012を記録してクラス20番手。総合40番手とぎりぎり予選通過タイムを記録。午後の予選で雨が降ればこのまま決勝に残れるポジションを得た。
期せずして昼から本格的な雨が降り出すが、JSB1000クラスのノックアウト予選が終了する頃にはコース上はドライコンディションに回復。ST600クラスの2回目の公式予選が始まった。この予選で上位陣はタイムが伸び悩みタイム更新は無かったものの、中段グループのタイムは午前中よりも引きあがってきており、その中で伊藤はクラス23番手までタイムを落としてしまう。
このままでは予選落ちになってしまう伊藤はタイヤを交換して最後のアタックに出てゆくが、思うようにタイムが伸びない。そして最後のアタックの周回にもクリアラップを取ることが出来ず午前中のタイムを更新できないまま公式予選を終えた。
結果伊藤は総合45番手に終わり予選落ちとなってしまった。
総括
今回、藤田は様々な経験をする事となったが、今後の糧になるよう再度教育して行きたいと思います。しかし、最後尾からの追い上げや、練習の成果を見せた絶妙なロケットスタート、そして冷静なレース運びなど非常に収穫の多いウイークだった事は間違いありません。 一方、伊藤にも体をしっかりと回復させ、地元コースの茂木では輝きを取り戻してもらえるようバックアップしてゆく所存です。
DOG FIGHT RACING の次回のレースは、10月17日の茂木で行われる全日本選手権第6戦となります。藤田、伊藤と共に好調な阿久津ももちろん参戦いたします。 引き続き応援いただけますよう、宜しくお願いいたします。
ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明