日時・場所 7月26日・鈴鹿サーキット
参加 台数 70台
観客動員数 71,000人(7月27日・8耐決勝)
レース参戦準備
例年よりも早い梅雨明けと共に真夏の日差しの中迎えた鈴鹿4時間耐久レース。当チームからは昨年に引き続き佐々木幸弘選手が参戦。ペアライダーには鈴鹿ST250クラスレコードホルダーの(もてぎはチャンピオン)の遠藤弘一を擁して臨んだ。
前哨戦となった鈴鹿100kレースあたりから調子を上げてきた両ライダーは、新型タイヤを投入した7月の最終テストで上々のフィーリングを掴む事ができた。2008年のレギュレーション変更で一人の走行時間が60分に拡大されたが、燃費的にも十分余裕があり、戦略的にも状況に応じた変化をつけられる体制で本戦を迎えることができる。
公式練習&予選
レースウイークに入り一気に夏本番の酷暑となり、連日30度を超える気温で、路面温度も50度を超える中、公式練習・予選が行われる。急激に変わった路面コンディションにより、木曜日の公式練習で若干のサスペンションセットの変更を行なうが、大まかな方向性は固まっており、エンジン、車体共に良好な状態に仕上がっている。
そして迎えた金曜日、A・B二組に分けられたクラス分けで公式予選が始まる。A組の第2ライダーの遠藤が先にタイムアタックに臨む。第2ライダーの公式予選は8時30分にスタートとなるが、この時点で気温は30度を超え、路面温度も40度以上に上昇。
公式練習よりも若干路面温度は低いもののそれでもタイヤのグリップはベストな状態には程遠く、グリップを確認しながらのアタックが続く。このような状況の中、遠藤は5周目に2分23秒343を記録。その後もセクター1・セクター2と最高タイムを記録するもののクリアラップを取ることが出来ずそのまま予選を終えクラス5番手となる。
8耐予選を挟み午後2時から第一ライダーの公式予選が始まる。気温35度・路面温度50度を超えるコンディションの中公式予選がスタート。佐々木は全車がコースインを終えた後モリワキのマシンと共にゆっくりとコースイン。一気にペースアップした2台のマシンは2周目に2分22秒台に突入。さらにペースを上げた佐々木は5周目に2分21秒962を記録してピットイン。
これ以上のタイムアップが難しい中で決勝レースを想定したサスのセットアップ変更を実施。
リヤサスのセットをソフトな方向に変更して再びタイムアタックに向かう。このセットアップの変更は結果的に無駄となってしまうが、決勝に向けさらにセットアップの方向性を煮詰めることが出来た。公式予選の結果は佐々木がクラス4番手となり、二人の合算タイムによる総合タイムは3番手を記録した。しかし決勝グリッドはA・Bクラスの頭取りとなり、結果5番グリッドからのスタートとなった。
決勝
快晴となった決勝日。スタートライダーを任された佐々木は予選で確認した方向へセットアップの微調整をオーダー。そして決勝レーススタートの8時30分には気温は30度を超え、路面温度も急上昇してゆく中スタートが切られた。スタートのエンジン始動で若干出遅れた佐々木はオープニングラップを8番手で通過。その後トップ集団から少し離れた第2集団を形成する。
トップ集団がペースアップする中22秒台とペースの上がらない集団から抜け出すために、佐々木はストレートスピードの勝るマシンで再三 前車に並びかけるがブレーキングで抜き返されてしまう苦しい展開が続く。イン側のタイトなラインでコーナーに侵入するには前タイヤのグリップが不足気味となり、転倒の危険を避けるために無理を出来ない状況が続いていたのだ。それでも14周目に集団を抜け出すとペースを上げ後続を引き離してゆく。そして予定通り20周目に7番手で1回目のピットインを迎える
バトンを受けた遠藤は、真夏の耐久レースで磨耗したタイヤでコースイン。最初の一周は慎重過ぎるほどのペースで通過。それでも順位は6番手に浮上していた。徐々にペースを上げてゆく遠藤。そのペースは上位のマシンたちよりも速く急速にその差を縮めてゆく。5→4→3番手とポジションを上げて行くDFR&遠藤のマシンがカラービジョンに映し出されてゆく中35周目についに2番手に浮上。
トップを追う遠藤は後続との差を広げながら更にペースを上げてゆくが37周目にヘアピンコーナーで痛恨のスリップダウン。幸いマシンのダメージはなくマシンを起こした遠藤はそのまま周回を重ねてゆく。そして予定通りの40周目にピットイン。メカニックたちがマシンチェックを行い、給油の後再び佐々木がコースイン。
マシンを降りた遠藤は体のダメージもなくマシンに関しても問題ないとのコメント。「少しだけ攻めてみたらあっけなくフロントから転んでしまいました、すみません・・・」初経験ゆえのミス。今後の糧になるであろう・・・
転倒により順位は8番手まで落としてしまうが佐々木は25秒台で周回を重ね再び上位との差を詰めてゆく、チームはラップタイムを見てマシンの状態に大きな問題は無しと判断し、遠藤の休息をとるために佐々木の周回を2周増やし22周に変更する。その後も安定したタイムを刻んだ佐々木は順位を6番手まで上げ3台による激しい4番手争いを展開。ピットインするまでその争いは続くがピットインのタイミングと作業スピードで遠藤に交代した時点で4番手まで順位を回復していた。
代わった遠藤は転倒の影響から28秒台が精一杯でペースが上がらない。一時は20秒以上開いた後続との差も周を追う毎に縮まり、ポジション維持に黄信号が灯り始める。このためチームは遠藤の走行を3周切り上げ残りを佐々木に再び託する作戦に変更。佐々木との打ち合わせで最終スティントのサスセットの変更を決め、メカニックは作業のシュミレーションを行ないつつ遠藤のピットインを待つ。そして80周目に遠藤がピットイン。
ポジションは5番手に落としていたが、4番手の伊藤レーシングも同時にピットイン。このピットインで再び4番手に復帰した佐々木は26秒台にペースを上げ後続との差を徐々に広げて行く。そして一度は周回遅れとなったトップのマシンを追い更にペースを上げてゆく。4時間のチェッカー目前となった96周目についにトップのマシンの背後に追いついた佐々木は一気にこれをパス。再び同一周回に持ち込みストレートを通過する。97周目に記録したこのタイムはなんと24秒台に突入していた。意地を見せた佐々木のマシンが98周目の周回を終え最終コーナーを立ち上がりチェッカーを受けた。
今期は、佐々木のペアを組む遠藤がどこまで仕上がるかが鍵となっていた。地元コースの茂木では高い順応を見せていたが、鈴鹿サーキットでは簡単には通用しないレベルの高さに悩みを抱える時期もあった。ST250クラスで走っていたのとは違うレベルの高さ、慣れないマシン、迫り来る時間、多くのプレッシャーを乗り越えレースウイークにしっかりと戦える状態にまで調整できた事で勝機は見えてきていた。
しかし簡単に勝たせてくれない鈴鹿の女神は今年もチームに試練を与えてくれた。しかしこの経験が二人のライダーに勝つ為の方程式を教えてくれた。遠藤は「5年分以上の成長を感じた半年でした」と語るように、この半年と決勝レースを通して多くの糧を得る事ができ、来期への可能性を掴んだ。そして完全に復調した佐々木は、来期の4耐での圧倒的な勝利に目標を定めた。
転倒を乗り越えトップと同一の98ラップを走りきることが出来たのはチーム力の向上をはっきりと示してくれた。そして一昨年に続く表彰台まで後一歩のところまでチームを仕上げることが出来たのは大きな収穫であり、このような環境を与えて頂き、ご支援を頂きました皆様のおかげとチーム一同深く感謝いたしております。いつも変わらぬお力添えを頂き、誠に有難う御座いました。
ドッグファイトレーシング
代表 室井 秀明
遠藤選手談
「鈴鹿4時間耐久参戦は、やはりプレッシャー(良い意味での)が大きかったです。本格的に600のマシンに乗るのも初めてのような状態で、よく転倒もしてしまいました。それでも自称ST250最速の意地もありましたし、ST250のライバル達、大勢の応援や期待も背負っていましたので、簡単に引けない状況でした。ようやくマシンなり程度には乗れるようにはなりましたが、まだまだマシンを操るという点に置きましては満足できるレベルには程遠く、本当に悔しい限りです。
決勝でも転倒してしまい2回目の走行はもう絶対に転べないという心境で、まさに金縛り状態でした・・・ でも鈴鹿4耐は本当に楽しかったです。このようなチャンスを頂けたこと、協力してくれたチームスタッフ・スポンサーの皆さんに心から感謝致します。 今年はレース人生の中でもかなり濃厚濃縮な時間を過ごしました。来年はこの経験を生かし佐々木さんの負担を減らせるような走り、そして絶対優勝目指して頑張ります!(チャンスを頂ければ・・・)。」
佐々木選手談
「今年もチャンスを頂きありがとうございました。旨くいけば優勝できるのかなーと事前テストを終えた頃から考えていました。結果的に4番手でしたが優勝する為に必要なものは見えました。ライダー・マシン・チームの力が揃えば来年は優勝報告が出来ると思います。チームの皆さん、そしてご支援頂きましたスポンサーの皆々様、有難うございました。そして来年もよろしくお願いいたします!」
☆ライダーコメント☆ 佐々木 幸弘
2008鈴鹿4時間耐久を終えてっていうか?
自分がレースに出る時は常に、今自分がしなければいけない事と出来る事を考えている、それはレースの最中もである、だからレースを振り返る事はない、振り返るとしたらそれは引退の時だろうね。
レースは勝つ為にやってる、負けたレースは悔しくて眠れないぐらいだよ。
佐々木 幸弘 見せますよ~宜しくです。